フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1139.第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生を養女にしたことに対する、男性担当者が期待した見返りは？

「男性担当者に聞くの。
第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生を養女にすることで、男性担当者が期待した見返りは、何かしら？」

男性担当者は、答えないの。

答えたのは、第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生。

「見返り？
私を養女にした特典なら、スピード出世したこと。
箸にも棒にもかからない存在だったのに。」

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生は、ふん、と鼻息を荒くしているの。

男性担当者の手当てを、と騒いでいたのが、嘘のよう。

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生は、両腕がない男性担当者に近寄りもしないの。

「私の個人情報をバラしたから、私もバラす。
やられたら、やり返さないと。
せっかく仲良くしようとしたのに。
意地の悪い人って、本当にどこにでもいる。
この世界は、嫌になることばかり起きる。」

それから。
第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生は、養親である男性担当者に対し、失望した、と言い捨てたの。

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生は、異世界転生者か、異世界転移者を偽装させた可能性が出てきたの。

異世界転生者かぶれな可能性もあるけれど。

異世界転生者や、異世界転移者は、元いた世界にあって、この世界にない技術や知識を、この世界で使いたがるの。

今いる世界のやり方に合わせよう、慣れよう、先人を見習おうという人は、極少数派なの。

誰にも分からないように、こっそり自分だけ使う発想の人もいないわけではないけれど、こちらも少数派なの。

異世界転生者や異世界転移者が引き起こした事件の半分は。

無知、愚かさ、自分勝手さ、驕り、自己顕示欲を異世界転生者や異世界転移者が自ら自覚し、その身を慎んでいれば起きなかったと、歴史学者に言われているの。

異世界転生者や異世界転移者のうち、元いた世界の方が、今いる場所より優れていたから、元いた場所と同じくらいに快適になるように今いる世界を変えたいと考えるのが、多数派なの。

異世界転生者や異世界転移者が、この世界でよく思われてこなかったのは、自分本位な人が多かったからなの。

異世界転生者や異世界転移者に関わって、いい結果を出せることもあるの。

ただ。

異世界転生者や異世界転移者に関わることのリスクが、享受できるであろう利点をはるかに上回ることを過去の歴史が物語る以上。

野望など持たずに生きて、真っ当な人生を終えたいと願う人にとって、異世界転生者と異世界転移者は鬼門なの。

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生の生物学上の両親は、その血をひく娘を持て余して、母親の戸籍上の夫の弟へと手渡したのかしら。