フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1132.ボクがいる空間は、カオスなの。どこもかしこも、問題がありすぎるの。

先代国王陛下は、国王陛下の養育に関して、取り返しのつかない失敗をしたことを反省なさり、国王陛下の実子、王太子殿下と第2王子殿下、第3王子殿下の御三方の養育に直接携わってこられたの。

先代国王陛下がご存命のうちは、表面上、何の問題もなかったの。

先代国王陛下が体調を崩されて、表に出てこられなくなってからは、国王陛下ご夫妻から王太子殿下とその派閥へ圧力がかかることが増えたの。

国王陛下ご夫妻は、お手元で養育された第4王子フィリップ殿下を可愛がっていらっしゃることを隠されなかった。

第4王子フィリップ殿下と第4王子フィリップ殿下派閥の暴挙で、ボクが成人の儀の会場である王城から拉致されたことに端を発した一連の出来事により、デヒルお兄様が介入。

国王陛下のご家族は、関係性の再構築をすることになったの。

そういう経緯があるの。

王太子殿下は、実父母の国王陛下ご夫妻に一方的に睨まれ苦労されたの。

王太子派閥も、同時期には辛酸を舐めたの。

第4王子フィリップ殿下派閥は、国王陛下ご夫妻のフィリップ殿下への一極集中のご寵愛から、派閥が増長し、ガラン家当主の息子であるボクに危害を加えたとデヒルお兄様が手を入れたことで、フィリップ殿下にあやかり、甘い汁を吸いたい勢が勢いをなくしたの。

コーハ王国の貴族家にとって、この何十年かは、激動の時代なの。

激動の時代は、派閥に所属することで、安心が買えるの。

派閥に所属すれば、上に守ってもらえて、情報も受け取りやすくなり、派閥内で味方が増やしやすくなるの。

派閥の目的のために力を尽くすことが、派閥に所属する大前提なの。

派閥の恩恵だけがほしいなんて、一方的な利益の搾取なの。

学生の年齢層は、12歳から18歳。

ボクの世代より、少し下なの。

学生の親世代が、今の公爵家当主の世代と直接的な交流を持つには、年齢差が大きくてスムーズにいかなかっただろうということは推測できるの。

双子でいらっしゃる第2王子殿下と第3王子殿下の派閥形成時期には、参加を表明していなくて、後から所属の意向を示した家が、学生のお家の大半に該当するんじゃないかしら。

「「「重罪。」」」
と慄く小声が学生間で、さざ波のように広がっていくの。

「どうせ何もできやしない。」
「口先だけ。」
というひそひそ声が、慄く小声にかぶさるの。

躾のなっていないご令嬢とご子息しかいない、という状況を証明しているの。

男女の担当者の年齢層は、ボク達と同じだから、２人の言動は、無知ではなく、思惑が絡んでいるの。

第2王子派閥と第3王子派閥のどちらの派閥にも所属していない貴族家の女子学生が我が物顔で部屋にいる状況も含めて。

カオスなの。

問題しかないの。