フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
1,116 / 1,440
第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1117.近衛別働隊発足にあたり、第2王子派閥と第3王子派閥は、王太子派閥と足並みを揃えなかった。発足後、幹部の増員をはかったが?

しおりを挟む
近衛別働隊の発足にあたり。

近衛別働隊の発足を決めたフィリスの長兄、ガラン子爵家のデヒルから、王太子殿下派閥と第4王子フィリップ殿下派閥からだけでなく、第2王子派閥と第3王子派閥からも、近衛別働隊の幹部として人を出すようにと指示があった。

幹部の人数は、6人から8人を想定している、とデヒルは構想を語っている。

現在の近衛別働隊の幹部は6人。

最低人数での発足。

第2王子派閥と第3王子派閥は、2人ずつの枠に1人しか出さなかった。

リッチェルとアランの、1人ずつ。

近衛別働隊の発足は、ガラン子爵家の次期当主であり、王太子殿下と懇意にしているデヒルが音頭をとっている。

人の手配は、各派閥で調整しているが、発足時の、創設メンバーは、デヒルのお墨付きが出た者のみ。

デヒルの末弟フィリスの周りに配置する人材の選別に関して、デヒルは、一切の妥協をしなかった。

近衛別働隊の創設メンバーは、資質に優れた真っ当な人物で構成されている。

創設メンバーを基準にして、隊員を募集しようとすると、近衛別働隊への異動基準を満たす人物は、近衛本隊も手放したくない優良物件。

近衛別働隊は、発足当初からインパクトがあった。

国をあげての新しい組織。

隊員は、若く将来性のある未婚の貴族子弟のみ。

発足から3年。
イロモノ感はあるが、知名度は浸透してきた。

近衛別働隊の幹部比率は、そのまま、組織内の派閥の力の比率になる。

王太子派閥は、2。
第2王子派閥は、1。
第3王子派閥は、1。
第4王子フィリップ殿下派閥、2。

近衛別働隊発足後、近衛別働隊が、近衛別働隊として始動してから。

第2王子派閥と第3王子派閥は、両派閥から近衛別働隊の幹部を増やすことを提案し、拒否されている。

第2王子派閥と第3王子派閥が、両派閥の幹部の増員を持ちかけた際、近衛別働隊が発足することになった原因と発足の目的を理解していないことを各方面から指摘された。

ガラン子爵家のデヒル、王太子殿下派閥、第4王子フィリップ殿下派閥。

何より、近衛別働隊総司令のフィリス自身が、両派閥からの幹部の増員を拒否している。

近衛別働隊に、第2王子派閥と第3王子派閥から、幹部の増員に賛同してほしいと、会合を持ちかけられたときのこと。

フィリスは、近衛別働隊から、サブリーとユージュアル、リッチェル、ワイズ、アラン、バージニを率いて会合に臨んだ。

『キミ達の失敗は、キミ達自身で巻き返すようにしなさい。』
というのが、第2王子派閥と第3王子派閥に対するフィリスの回答。

フィリスがあげた増員拒否の理由は、単純明快。

『次期ガラン子爵家当主のデヒルお兄様が、各派閥へ公平に与えたチャンスを棒に振ったのは、第2王子派閥と第3王子派閥。

ガランが声を上げ、王太子殿下と第4王子フィリップ殿下の足並みを揃えさせた近衛別働隊。

ボクは、ガランが関わり、ガラン家当主の子どもを頭にすえた近衛別働隊を失敗におわらせないの。

名だたる子息を幹部として、2人ずつ出した王太子殿下派閥と第4王子派閥は、ボクが率いる近衛別働隊を成功させるために動いてきたの。』
とフィリスは、閉じていた扇を開いた。

かたや、失敗したときに負う傷を増やしたくないと、最低限の協力で済まそうとした第2王子派閥と第3王子派閥。

王太子派閥に足並みを揃えてきた第2王子派閥と第3王子派閥は、近衛別働隊に幹部を送り込むことに関しては、重要視せずに、足並みを揃えなかった。

そのときの両派閥の判断が、何年後かの趨勢に影響を及ぼすことになるとは。

『第2王子派閥と第3王子派閥が、リッチェルとアランを幹部に出すことで、挙国一致の体制を整えることはできたの。』
と言って、フィリスは、話し合いにきた両派閥の代表者を残し、席を立った。

近衛別働隊において、総司令フィリスの意向は絶対。

第2王子派閥と第3王子派閥は、最初の失敗を挽回しそこねた。

フィリスは、両派閥の持ちかける話しを聞く価値なしと、判断したのだ。

フィリスは、有無を言わせることなく意見を通した。

フィリスが退室するのを阻止して、話を続けさせようとする第2王子派閥と第3王子派閥。

サブリーとユージュアルは、2人でフィリスに道を作り、フィリスと一緒に部屋を出た。

「リッチェル、アラン、後は任せるの。」
フィリスは、室内に背中を向けたまま、リッチェルとアランを指名。

サブリーとユージュアルは、フィリスの発言が終わるなり、迅速に扉を閉めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

公爵家の次男は北の辺境に帰りたい

あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。 8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。 序盤はBL要素薄め。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました

山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。 ※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。 コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。 ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。 トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。 クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。 シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。 ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。 シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。 〈あらすじ〉  コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。  ジレジレ、すれ違いラブストーリー

処理中です...