フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1107.リッチェルによるサブリー解放まで。

リッチェルは、サブリーの後ろから現れて、サブリーをその背中に隠した。

「リッチェル。俺、帰る。」
とサブリーは、リッチェルの背中にしがみついている。

よしよし、と、リッチェルは、背中側に手を回して、サブリーを慰めた。

「無理。無理。」
とサブリー。

「学生諸君、反省が終わるまで近づかないように。」
とリッチェル。

「反省しようが、しまいが、寄ってくるな。」
とサブリーは、リッチェルの背中に隠れながら、吠えている。

女子学生達は、教室の中から、寸評を始めた。

「あら、フラれてしまいましたわね。」

「初手を間違えましたわね。」

「ビクついていらっしゃる方にグイグイいくのは、逆効果ですわよ。」

「これから、立て直しをはかるのでしょう。」

「あんなに警戒されてしまっては、お近づきになるのは、もう難しいのではないでしょうか？」

サブリーは、女子学生の会話に違和感を覚えた。

この女子学生達は、俺が、迫られているのを見ても驚かなかった。

この女子学生達は、俺が、狙われているって知っている。

グルか！
サブリーと手を繋いでいた2人の男子学生と女子学生達は、グルなのか！

女子学生は、たまたま居合わせたんじゃない。

男子学生が、サブリーをおとせるかどうかの報告要員だ。

男子学生がサブリーをおとすのに協力はしなくても、応援はしている、というところか。

女子学生達は、男子学生の血縁や友人や、同じ派閥内の利害関係者なのだろう。

せっかく、女の子と仲良くなれると思ったのに。

女の子と仲良くなったら、女の子が、サブリーの恋人にぴったりだから、と、男を紹介してくるパターン再び？

嫌だ、嫌だ！

なんで、仲良くなった女の子に、男と付き合えばいいんじゃない、と言われなくちゃならないんだ。

男は、いらない！

女の子と全然仲良くなる機会がなさすぎる！

近衛は、モテるって聞いたのに！

いくらモテるっていっても、同じ男はお呼びじゃないんだ！

男はいらないんだって！

しかも、俺相手に、どこぞの貴公子ムーブとか、モテる男ムーブとか、何してくれるんだ？

俺は、男に取り合いされて喜ぶ趣味はない。

女の子に取り合いされた経験はないけど。

俺と仲良くなれる女の子とは、まだ、出会っていないだけ。

出会っていても、仲良くなるには、時間がかかるはず。

まだまだ、これから。

サブリーは、浮上した。

「リッチェル。」
とサブリー。

「怖い思いしたよね？ここからは、俺が近寄らせないから、一緒に行くよ。」
とリッチェル。

「俺、この貴族学校では、リッチェルから離れない。」
とサブリー。

女子学生の気になるお兄さんになるのは、困難だ、と、サブリーは、作戦変更。

サブリーには、誰が、第2王子派、第3王子派の女子学生と男子学生か、見分けることが出来ない。

リッチェルといたら、男子学生が避けることが分かった。

リッチェルがいれば、サブリーは、安全地帯にいられるはず。

「反省したら、反省文を提出しに来なさい。合格するまでは、接近禁止。」
とリッチェル。

サブリーは、リッチェルの背中から剥がされまい、とリッチェルにくっついている。

「サブリーは、俺の隣を歩けば、安全だよ。
背中は、サブリーが見えないから、隣においでよ。」
とリッチェル。

サブリーは、リッチェルの背中から、一瞬で、リッチェルの隣へ。

「リッチェル。俺は、リッチェルの隣から動かない。」
とサブリー。

「何か、気が紛れる話でもしながら、歩こうか。」
とリッチェル。

こうして、サブリーは、リッチェルによって、無事に解放された。