フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1104.うちの姫に本気になれないなら、早期撤退のご検討を。

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「勝手をするな。逃げ出したのはそちらだ。」
と最年少の少年。

「うちの姫の気に障ることをするからです。」
とアラン。

姫?
ボクの聞き間違いかしら?

「姫だ?」
と、馬鹿にしたように、口角を上げる最年少の少年。

「姫ですが?」
とアラン。

ボクの聞き間違いじゃないの。

アラン、貴族学校の子どもに、姫の概念を理解させなくてもいいとボクは思うの。

ボクが、国から、姫だと認められていることも、知らせなくていいと思うの。

ボク、臨時講師なの。

姫じゃなくて、先生と呼ばれるのが、妥当じゃないかしら。

最初の授業で、ボクのことは、ガラン先生と呼ぶように指導するの、ボク。

ガラン先生。

いい響きなの。

ガラン先生、を採用するの。

「フィリス。」
と、ボクを呼んだバージニの腕が曲げられているので、ボクは、バージニの隣に行って、そっと手を乗せたの。

「は?」
と最年少の少年が瞠目しているの。

「アラン、バージニ。サブリーとユージュアルがいないの。
ボク、探しに行くから、アランとバージニは、ついてくるの。」

「待て!何のまねだ!」
と最年少の少年。

バージニは、エスコート用に曲げていない方の手を、バージニの腕に乗せているボクの手に、ぽんっと乗せて、とんとんしたの。

分かっているの、バージニ。

ボク、エスコートされる達人なの。

ボクのエスコートされ歴は長いの。

ボクは、エスコートされるプロなの。

バージニにお任せするの。

ボクは、バージニを見上げてから、バージニの腕に寄り添う。

「戻ってこい!」
と最年少の少年は、ボクに命令したの。

少年は、イライラから、口調に丁寧さが抜けたの。

ボクは、10歳も年下の12歳か13歳の少年の取り繕った顔と、自己満足に付き合うほど、欺瞞を愛する人じゃないもの。

ボクのことを喜んでエスコートする人にエスコートされたいもの、ボク。

ボクは、ぷいっと、最年少の少年から顔をそらしたの。

バージニの方へ。

「俺に、余計な手間をかけさせるのか?」
と最年少の少年。

ボクは、ぷいっとしたまま、無言を貫く。

「姫を姫として大切にする姿勢がないのを、姫に見透かされているので、エスコートは終了です。

ここからのフィリスのエスコートは、バージニがします。

俺についてきてください。」
とアラン。

アランの有無を言わせぬ口調に、最年少の少年は、己の失敗を悟ったの。

「本気で言っているのか?」
少年は、落ち着きを取り戻したの。

「本気も、本気です。
姫とお付きの2人をバラバラに引き離すなんて、最悪です。」
とアラン。

「姫とお付き?本気で?」
と最年少の少年は、ボクをまじまじと見てきたの。

「俺達は、本気です。
姫に本気になれないなら、今からなさろうとしていることには、向いていません。
傷を負う前に、早期撤退を検討されることをお勧めします。」
とアラン。
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