フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
1,097 / 1,439
第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1098.エスコートをめぐる攻防。ボクと最年少の少年。勝者はどっち?

しおりを挟む
ボクは、カオスを作り出す面子に振り回されないの。

ボク達、学生の勢いに負けないの。

大人の貫禄を見せつけるの。

「まずは、ボクの役に立ちなさい。
ボク達を貴族学校の校長のところに案内するの。」

「喜んで。」
と最年少の少年。

最年少の少年は、ボクに並んで、腕を差し出してきたの。

「ボク、23歳なの。キミ、12か13じゃないかしら?」

ボク、10歳下の少年にエスコートされる気はないの。

大人だもの。

「ご案内するだけです。」
と最年少の少年。

最年少の少年は、なんの問題もない、という顔をしているの。

問題しかないの。

ボクは大人なの。

「エスコートがなくても、ボクは歩けるの。」

「俺といると安全ですよ。」
と最年少の少年。

安全とか、安全じゃない、とか、どういうことかしら?

「ボク達、安全じゃないお仕事場所には行かないの。帰るの。」

帰ろうと、ボクは、踵を返したの。

次の瞬間。
ボクは、最年少の少年にお姫様抱っこされていたの。

早技すぎるの。

「ご案内します。」
と最年少の少年。

最年少の少年が、ボクをお姫様抱っこしたままで、歩き出そうとするの。

待つの。
ボクをお姫様抱っこして、練り歩く気かしら?

「下ろすの。子どもにお姫様抱っこは、早いの。」

最年少の少年は、立ち止まって、ボクをお姫様抱っこしながら、聞いてきたの。

「エスコートしましょうか?」
と最年少の少年。

ボクは、エスコート不要なの。
「キミのエスコートは、なしなの。」

最年少の少年は、ボクの答えを聞くと、ボクをお姫様抱っこしたまま、再び歩き出したの。

「止まるの。ボクを下ろすの。」

最年少の少年は、ボクの声を聞いて、足を止めたの。

「俺のエスコート、いりますか?」
と最年少の少年。

ボクは、はっきりお断りするの。

「ボクは、キミのエスコートも、お姫様抱っこもなしにするの。」

最年少の少年は、ボクの返事を聞いて、ボクをお姫様抱っこしたまま、すたすたと歩き始めたの。

「キミは、ボクを下ろしてから、歩くの。」

最年少の少年は、止まらない。

ボク、このままだと、最年少の少年にお姫様抱っこされたまま、校長のところまで案内されてしまうの。

「キミ、ボクは、お姫様抱っこをキミに求めていないの。キミは、速やかに、地面にボクを立たせるの。」

最年少の少年は、止まらないの。

「俺のエスコート、いりますか?」
と最年少の少年は、歩きながら、ボクに聞いてきたの。

まさか、まさか。

ボクは、ボクをお姫様抱っこする最年少の少年に聞いたの。

「キミは、ボクが、キミにエスコートして欲しい、と言い出すまで、ボクをお姫様抱っこし続けるのかしら?」

最年少の少年は、含み笑いを漏らした後に、ボクに聞いてきたの。
「俺にエスコートされたいですよね?」
今まで見た中で、とびきりの笑顔で、最年少の少年はボクの返事を待っているの。

速度をゆるめずに。

このまま、最年少の少年にお姫様抱っこされて、歩き回られるのは、ボクの臨時講師の肩書きが泣くの。

「ボク、キミのエスコートで、校長に会いに行くから、ボク達を案内するの。」

ボク、ボクは、12歳か13歳の少年に負けたの。

最年少の少年は、ボクをお姫様抱っこするとき、魔法を補助的に使っていたの。

最年少の少年は、魔法に長けているの。

ボクは、最年少の少年に、ボク以外の方面での活躍を期待するの。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...