フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1098.エスコートをめぐる攻防。ボクと最年少の少年。勝者はどっち?

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ボクは、カオスを作り出す面子に振り回されないの。

ボク達、学生の勢いに負けないの。

大人の貫禄を見せつけるの。

「まずは、ボクの役に立ちなさい。
ボク達を貴族学校の校長のところに案内するの。」

「喜んで。」
と最年少の少年。

最年少の少年は、ボクに並んで、腕を差し出してきたの。

「ボク、23歳なの。キミ、12か13じゃないかしら?」

ボク、10歳下の少年にエスコートされる気はないの。

大人だもの。

「ご案内するだけです。」
と最年少の少年。

最年少の少年は、なんの問題もない、という顔をしているの。

問題しかないの。

ボクは大人なの。

「エスコートがなくても、ボクは歩けるの。」

「俺といると安全ですよ。」
と最年少の少年。

安全とか、安全じゃない、とか、どういうことかしら?

「ボク達、安全じゃないお仕事場所には行かないの。帰るの。」

帰ろうと、ボクは、踵を返したの。

次の瞬間。
ボクは、最年少の少年にお姫様抱っこされていたの。

早技すぎるの。

「ご案内します。」
と最年少の少年。

最年少の少年が、ボクをお姫様抱っこしたままで、歩き出そうとするの。

待つの。
ボクをお姫様抱っこして、練り歩く気かしら?

「下ろすの。子どもにお姫様抱っこは、早いの。」

最年少の少年は、立ち止まって、ボクをお姫様抱っこしながら、聞いてきたの。

「エスコートしましょうか?」
と最年少の少年。

ボクは、エスコート不要なの。
「キミのエスコートは、なしなの。」

最年少の少年は、ボクの答えを聞くと、ボクをお姫様抱っこしたまま、再び歩き出したの。

「止まるの。ボクを下ろすの。」

最年少の少年は、ボクの声を聞いて、足を止めたの。

「俺のエスコート、いりますか?」
と最年少の少年。

ボクは、はっきりお断りするの。

「ボクは、キミのエスコートも、お姫様抱っこもなしにするの。」

最年少の少年は、ボクの返事を聞いて、ボクをお姫様抱っこしたまま、すたすたと歩き始めたの。

「キミは、ボクを下ろしてから、歩くの。」

最年少の少年は、止まらない。

ボク、このままだと、最年少の少年にお姫様抱っこされたまま、校長のところまで案内されてしまうの。

「キミ、ボクは、お姫様抱っこをキミに求めていないの。キミは、速やかに、地面にボクを立たせるの。」

最年少の少年は、止まらないの。

「俺のエスコート、いりますか?」
と最年少の少年は、歩きながら、ボクに聞いてきたの。

まさか、まさか。

ボクは、ボクをお姫様抱っこする最年少の少年に聞いたの。

「キミは、ボクが、キミにエスコートして欲しい、と言い出すまで、ボクをお姫様抱っこし続けるのかしら?」

最年少の少年は、含み笑いを漏らした後に、ボクに聞いてきたの。
「俺にエスコートされたいですよね?」
今まで見た中で、とびきりの笑顔で、最年少の少年はボクの返事を待っているの。

速度をゆるめずに。

このまま、最年少の少年にお姫様抱っこされて、歩き回られるのは、ボクの臨時講師の肩書きが泣くの。

「ボク、キミのエスコートで、校長に会いに行くから、ボク達を案内するの。」

ボク、ボクは、12歳か13歳の少年に負けたの。

最年少の少年は、ボクをお姫様抱っこするとき、魔法を補助的に使っていたの。

最年少の少年は、魔法に長けているの。

ボクは、最年少の少年に、ボク以外の方面での活躍を期待するの。
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