フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1031.ボクは、ダンシェル、ロウウェル、レイモンドに、酷なことを告げるの。受け入れて、飲み込んで、乗り越えてほしいの、3人とも。

ボクは、2匹のコワニを掴んだの。
「コワニは、ボクの眷属で、ボクの命が尽きたら、一緒に尽きるの。
お喋りはしないけれど、意思はあるの。
ボクのお家には、コワニがいると覚えておくの。」

「分かった。」
とロウウェル。

「コワニに紹介するか？」
とダンシェル。

「コワニは、フィリスがいない時はお散歩係のタマキといるんだな？」
とレイモンド。

ボクは、ダンシェル、ロウウェル、レイモンドの3人をコワニに紹介したの。

コワニは、2匹とも、腕と頭、足を１回ずつ甘咬みしたの。

「コワニの挨拶なの。」

コワニは、2匹とも、尻尾をぶんぶん振っているの。

ここから、ボクは、3人にとって、深刻な話をするの。

「ボク、今まで、神気を使えるのを隠してきたの。
神気を使わずに、強くなろうとしてきたの。

でも、難しかったの。
だから、幹部のうち、ラウルとセドリックには解禁したの。

ボクの神気については、ラウルとセドリックとも相談するといいの。
他の幹部はダメなの。」

困ったような3人。

「俺達は、直属の部下だから、神気について聞いている？」
とレイモンド。

今から、酷なことを告げるの、ボク。

「そう。3人は、ボクの直属の部下だから。
ボクと一緒にいるから、ボクが守れるようにしたの。

ボクは、3人を守るけれど、3人の家や家族は守らない。

自分の家や家族は、自分で守るの。

ダンシェル、ロウウェル、レイモンド自身が、一目置かれる人物になるの。

ボクは、3人を引っ張り上げるの。

家と家族の条件は、ラウルとセドリックも一緒なの。

ラウルとセドリックは、ボクが守る。

ラウルとセドリックが守りたいものは、ラウルとセドリック、それぞれが守るか、それぞれの家が守るの。」

「家族や家は守らない？」
とレイモンド。

「家族と家が、ガランに忠誠を誓えば、守るの、ガランが。」

「よく分からない。」
とロウウェル。

「コーハ王国の建国の折、コーハ王国の子爵を名乗る取り決めをしたのがガラン、男爵家を名乗る取り決めをしたのが、ベイモンとノア。

ガラン、ベイモン、ノアは、コーハ王国の貴族の形式はとっているけれど、コーハ王国の王家から爵位や土地を与えられたわけではないの。」

「フィリスは、コーハ王国の貴族じゃない？」
とダンシェル。

「形式上、ガラン、ベイモン、ノアの当主とその子どもは、コーハ王国の貴族なの。
コーハ王国の貴族として、成人の儀にも出席するの。戸籍もコーハ王国籍なの。

建国の折、ガラン、ベイモン、ノアは、コーハ王国の干渉を受けないことと、コーハ王国の王家が危うくなったら、ガランが、コーハ王国に介入する取り決めがされているの。」

「フィリスが近衛、ハーマル殿が外交部にいるのは、介入なんだ？」
とロウウェル。

「ボクは、コーハ王国で働く予定がなかったの。

ボクが、フィリップ殿下に拉致されて、フィリップ殿下の護衛筆頭にされてしまったときに、介入が必要だと判明したから、ボクは、近衛を続けることをになったの。

ハーマルお兄様は、どうかしら？」

「フィリスは、いつか、近衛を辞めるのか？」
とダンシェル。

「ボクは、近衛を辞めないの。近衛別働隊は、ボクの大切な場所で、隊員は、ボクの宝物。

ボクが生きている間は、何人たりとも、手出しはさせないの。

ボクの死後までは、まだ考えていないの。
ボク、長生きの予定だもの。」

ボクは、今、話せることを話したの。

3人は、受け入れて生きていく一択だから、苦しまないで、くれるといいの。