フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1023.悩めるアンドリュー。

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フィリスは、別働隊の幹部1人1人に神気を流していくが、フィリスが神気を流していると知らない幹部達は、フィリスの妹マーゴットが、フィリスが危ないことをしないように言い含めたんだろうなあ、と推測していた。

「可愛さを極めると、カッコよさと貫禄が身につく、ときたか。斬新だな。」
とセドリック。

「言葉巧みに丸め込んだんだろうね。」
とリッチェル。

「マーゴット様だからこそ、為せる技だなあ。」
とアラン。

「マーゴット様は、フィリスを御しているよ。」
とリッチェル。

「妹最強説。」
とアラン。

「性格も含めて、一番強い。」
とセドリック。

「対極にいるのが、フィリスだなあ。」
とアラン。

「マーゴット様は、フィリスを兄として、常にたてているよ。」
とリッチェル。

「マーゴット様は、兄と比較させるような動きは決してしないよな。」
とアラン。

「フィリスは、可愛い路線。マーゴット様は、貫禄路線か。」
とセドリック。

「逆をいかないところが、マーゴット様だ。」
とアラン。

「フィリスをよく理解しているよ。」
とリッチェル。

アンドリューだけは、無言でフィリスを見ている。

ジーンとラウルは、その日のうちに、態度を決めて、翌朝に公表した。

2人は、近衛別働隊の屋台骨だ。

近衛別働隊が、ぐらつかないように、別々の態度を明確にして、安心感を与えた。

清々しい顔をしているセドリックの腹はもう決まっているのだろう。

アランとリッチェルは、第2王子派と第3王子派からの投入なので、ガラン寄りにはならないだろう。

諸々を理解して、アランとリッチェルは、別働隊の幹部になっている。

アランとリッチェルは、割り切って、現状維持を貫くだろう。

決めかねているのは、アンドリューだけだ。

アンドリューは、定期的にフィリスを抱く関係になることと、別働隊幹部の打診をされたとき、華奢なフィリスを見て、抱くのはできる、と思った。

生理的にフィリスが無理なら、肉体関係を持つのは無理だから、断るように、と予め言われていた。

フィリスは、アンドリューの1つ年上。

出会ったときから、フィリスに、女性らしさは感じられない。

華奢だが、見た目から男性だとはっきり分かる容姿をしている。

フィリスの女性っぽい仕草などは、かけらも見たことがない。

可愛いと言われて喜び、自ら可愛いと称しているフィリスは、自然体だ。

女っぽく振る舞って、男に媚びることもなければ、性的なアピールを見せることもない。

フィリスの心意気は、見た目以上に男前だ。

近衛別働隊の総司令であるフィリスにとって、近衛別働隊の幹部も隊員も、全員、フィリスが守るべき存在だと認識している。

部下を守るために、他の部署からの無理難題は、突っぱねている。

フィリスが疎ましがられる一因だが、その役回りだけは、フィリスは頑なに誰にも譲ろうとしない。

近衛別働隊に対するやっかみも悪口も、フィリスに集中させて、フィリス以外には分散させない。

抱くのは、できる、ぐらいの感覚だったフィリスのことを。
抱きたい、
可愛がりたい、
喜ばせたい、
好かれたい、と考えるようになっていた。

いつからだろう。

いつ、とか、これ、とか、全く思い当たることがないくらいささやかな日々の積み重ねが、アンドリューの中のフィリスの存在を大きくしていった。

日々、フィリスと過ごす中で、恋人みたいに抱くんじゃなく、恋人になっていた。

平穏が続き、フィリスが心を決めるような事態が起きなかったなら。
これからも、ずっと変わらず、フィリスとアンドリューは、恋人のように体を重ねる日が続いていっただろう。

抱くのが義務だからといって、逢瀬の都度、恋人を抱くように抱いてきたのは、フィリスがアンドリューにとって、適当に抱きたくない相手だったからで。

二人っきりの時間を大切に味わいたい相手だったからだ。

フィリスは、今まで通りでも、問題ない、とは言うけれど。

ラウルとセドリックに遅れを取るのは、アンドリューが嫌だ。

しかし。
今あるものと引き換えに、アンドリューがフィリスの側にいるという決断をするのは、ためらってしまう。

アンドリューのふるさと。 アンドリューの歴史。
アンドリューの血肉となったもの。
アンドリューが、アンドリューとして、生きてきた活力の源。

それらと切り離されて、フィリスとうまくいくか?

フィリスは、アンドリューだけ、にはならない。

アンドリューが、フィリスだけになると、フィリスには重すぎる。

考えれば、考えるほど、ドツボにハマる気がするアンドリュー。

そこへ、シエルとノーマがやってきた。

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