フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1004.ボクは、ボクが誹られている理由を1つ知っているの。ボクが魔法を使わないからなの。

「大人の道具は、後でな、フィリス。」
とセドリック。

「そうするの。」

「だから、プレイは家で。」
とノーマ。

「他には。フィリス、魔法は？」
とシエル。

「その件も含めて、デヒルお兄様が皆と話す時間を作りたいとおっしゃっているの。」

「魔法は、後回しにする。」
とシエル。

「皆、ありがとうなの。
ボク、一生、ガランで生きていくと思っていたから。」
ガランにいたときは、神気を出して、神獣と遊ぶくらいで良かったの。

神気で戦うときは、侵略者を全滅させる想定だから。

後始末とか、何も気にしなくて良かったの。


15歳から、人間が多い場所に来て、ボクは、23歳になったの。
ボク、神気しか使えない人間は、まだ、ボクしか知らないの。

神気に頼らないで、お仕事をしたり、生活するようにしていると、どうしても、周りと差がついてしまうの。

ボクの周りに、魔法を使えない人はいないの。

異世界転移してきた、タマキくらいなの。

ボクが、不出来とか、やる気がない、とか、誹られる原因は。
ボクが魔法を使わないから、も理由の1つ。

『ボクに魔法を使わせようとするくらいなら、代わりに使いなさい。』
とボクが言ったら。

『そうしろ。』
とフィリップ殿下が認めた形になり、まかり通っているの。

鶴の一声。

人前では神気は使うわけにはいかないもの。

理由も説明するわけにはいかないもの。

ボクは、沈黙するしかないと思っていたの。

魔法を使わないという誹りについては、ボクには、どうしようもないって。

ずっと誹られていくんだって諦めていたの。

ボク、人の魔法を使えない体になってしまったから、このまま生きていくんだもの。

異世界転移者のタマキが、神気を人の魔法に変えてから、使ってみる、というアイディアを出したの。

神獣ワニの歯で試してみたら、コワニが出来たの。

何かが、掴めそうで、掴めないの。

ボク、行き詰まっているの。

袋小路なの。

4歳で、【神々の子どもたち】のところに行く道では使っていたもの、ボク。

でも、もう、魔法の感覚を思い出せないの。

同じように魔法を使おうとしても、分からないの。

4歳までのボクは、どうやって使っていたのかしら。