フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

977.アンドリュー狙いの伏兵？蹴散らすの。

「アンドリュー。」
アンドリューは、ボクの顎から手を離しているの。

ボク、気まずいけれど、確かめなくてはならないの。

「アンドリュー。ボク。」

その時。
マルビル殿の罵声が。

マルビル殿は、顎をはめてもらった代わりに、鼻を変形させているの。

女性担当者は、有言実行なの。

「あと少しだったのに！」
とマルビル殿が、ボクを睨む。

「その場所は、私のものになったのに！」
とマルビル殿。

ボクの体を盗ろうとしていたのかしら？

アンドリューが、ボクを抱きしめる腕に力を入れたの。

「ボクは、ここにいるの。ここがいいの。ずっといるの。」
ボクは、アンドリューの腕の中で、アンドリューの胸板に頬をくっつけている。

ボク、囮だったのかしら？
アンドリュー。
計画を知っていたから、ボクの護衛に立候補してくれたのかしら。

「離さないでほしいの。アンドリュー。ずっと、一緒にいてほしいの、ボクと。」

「願われなくても。離さないよ、フィリス。」
とアンドリュー。

「アンドリュー。大好きなの。今日は、これで、お仕事終わりかしら？」

アンドリューは、ボクの鼻先に軽く口づけたの。

「お仕事終わったら、ボクと帰ってほしいの。今日はボクといて、明日、一緒に行くのはどうかしら？」

アンドリュー、うん、と言って欲しいの。

「ボク、アンドリューが足りなくて、欲しくて、早く一つになりたいの。」

「俺も。今すぐ帰りたい。フィリスと。」
とアンドリュー。

「思いが通じて嬉しいの、ボク。」

ボク、やっとアンドリューと。

うん？
何かしら？

マルビル殿とは違う方向から視線？

ボクが、そちらを見ると、医務官が、ボクを指差して、口をパクパクさせているの。

「なんだコレ。」
と医務官。

「よくある光景らしいですよ。」
と医務官の護衛。

「帰るなよ、仕事、まだ、あるんだからな！」
と医務官は、顔を真っ赤にしているけれど、ボクを見ていないの。

アンドリューは、渡さないの。
ボク、持ち帰っちゃうの。

「アンドリューのお仕事、今日、こちらの医務官と一緒じゃなくちゃダメなのかしら。
ボク、今日は、アンドリューと離れたくないの。

アンドリューとボクを隔てる服を脱いで、2人で、生まれたままの姿になりたいの。」

「フィリスが、望むことを俺が、叶えなかったことが一度でもあったか？」
とアンドリュー。

「いつも、全部叶えてくれるの。大好きなのに、もっと好きになっちゃうの。」

「仕事しやがれ！」
と医務官。

「お仕事、ボク、何をしたらよいのかしら？
怖いのは嫌なの。
アンドリューの腕の中にいれば、怖くないの。
ずっと温かいの。」

「フィリスの仕事は、俺の腕の中にいて、可愛いことだろう。」
とアンドリュー。


「年をとれば、可愛さなんて霧散するわ。誰でも年をとるのよ！」
とマルビル殿。

「ボク、いくつになっても、ボクの男は離さない。1人1人、全員、愛しているもの。お墓に入るまで、一緒にいるの。」