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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

960.ボクのコワニなの。ボクのなの。

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「騙したのか?」
イリダ殿の目が怒りで輝く。
ボクは、否定する。
「キミが、利用方法を守らなかった。契約を破ったキミのせい。」

「キミは、受けた報告に合わせて、人を送り込んだ、違うかしら?」

「そうだ。」

「キミが送り込んだのは、文官が主体じゃなかったかしら。」

「統治の基本だ。」
イリダ殿は、分かってないな、みたいにボクを見ているの。

「ボクが着いたとき、ビーイット公爵領は、人の手には余る状況になっていたの。」

「そんなばかな!話し合いで済む相手だったはずだ。」

「キミが受けた報告では、話し合いの出来る人間が、フェンリルの信仰集団をまとめていて、話し合いで解決出来る、というものだったのかしら?」

「でなければ、文官を送り込んだりはしない。」

文官だとしたら、なおさら、元フェンリルと元フェンリルの信仰集団には苦労されたと思うの。

常人にはない力。
自分達が全ての価値観。
相容れないもの。
どうかんがえても、武力制圧一択だったの。

「フェンリルを信仰する集団は、フェンリルの神性を失くさせて常人にはない力を手に入れていたの。
集団の7割ほどは、その力を有していたの。
集団を運営するのは、7割の中の古参。
彼らは、神性を失わせたフェンリルが、新しく来た人間を受け入れるか試して、受け入れなかったものを追放した。姥捨て山に。」

「姥捨て山は、捨てられた者が長生き出来ない場所。」

「ボクは、キミが送り込んだビーイット公爵家の関係者のうちの3人が埋葬されたと聞いたの。ビーイット公爵家で帰還したのは、当主の護衛だけ。キューブ傭兵団は、全員帰還しているけれど。フリーは帰還していない。」

「現地で戦闘になったとき、ボク達は、救援を待つ間、攻撃を凌ぐことに徹した。」

「戦力差がありすぎて、勝てないと分かったから。保ちこたえる方を選んだ。」

「一矢報いるなんて考えたら、一瞬で全滅する状態だったの。」

「戦闘で、キューブ傭兵団は、全員でまとまって、なんとか凌げていたの。ボクとビーイット公爵家の当主の護衛だけが、辛うじて、1人で凌いでいたけれど、次の一撃がきたら、帰れていなかったの。」

「なぜ、そんな馬鹿なことが起こり得る?」
とイリダ殿。

「キミが、組織を利用する際に守らなくてはいけない約束を破ったから。
組織から情報が欲しかったのは、誰かしら?
キミじゃなかったのかしら?

その場合。

キミ自身が組織に赴かなくてはならなかった。
キミが自身で手に入れた情報なら、キミは、大手を振って、使うことが出来たの。」

イリダ殿が苦悶の表情を浮かべている。

「どうして、自分で行こうとしなかったのかしら?」

「以前、利用した者は、代わりをうまく使ったと聞いていた。」
とイリダ殿。

「以前というのは、王子様として、報告を聞いたことがあるのかしら?」

「ああ。使ったが、代わりがうまく乗り切った、と。」
とイリダ殿。

「乗り切れないようになっていると思うの。」

「お前は帰ってきた。」
とイリダ殿。

「ボク、お父様に助けに来ていただいたの。お父様に助けていただけたから、無事なの。他の人は、ついでなの。」

「ビーイット公爵領のフェンリルとフェンリルの信仰集団が根城にしていた土地は、人が住める状態ではないの。朽ちるままに、朽ちさせていくのみ。」

イリダ殿の想定していた事態とは、違いすぎていたのかしら。

イリダ殿は、愕然としていたの。
そこから、ふっと我に返り。
ボクのコワニを凝視。

何かしら?

ボクのコワニの可愛さを絶賛したいのかしら?

ボクがドキドキしていると。

「そのワニか。そのワニがいればいいのか。」
と言い始めたの、イリダ殿。
そして、突然。
イリダ殿は、目を光らせた。
「差し出せ。そのワニは、ビーイット公爵家にあるべきものだ。」
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