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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

958.結果を見れば、称賛に値することでも、経過がよろしくないと?

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イリダ殿は、前世の人格が強すぎて、今世に馴染むことを拒否したの。

かつての王子様の振る舞いそのままなのも、今世の公爵家子息に馴染もうとしなかったから。

かつての王子様の意識のままだから、何もしなくても、周りがついてくると思っていたの。

実際のビーイット公爵家は、イリダ殿が理解しているようにハリボテだから、忠誠心も含め、まともな人材がほとんどいない。

少数のまともな人材は、かつての王子様意識に凝り固まったイリダ殿を危険視して、敬遠した。

その結果。

イリダ殿の手駒は、実の弟のマルビル殿くらいだった、ということかしら。

ビーイット公爵家の権威で動く外部の人間を使わないと、イリダ殿の手足になって動く人間はいなかった。

ビーイット公爵領に派遣されたのは、ビーイット公爵家の分家と、コーハ王国の貴族の依頼を率先して引き受けるキューブ傭兵団の戦闘職。

ビーイット公爵家から派遣された最初の2人と、ビーイット公爵領側の転移陣を管理していた使用人は、イリダ殿の意にそう人間だったのかしら。


公爵家の再建に意欲を見せているけれど、ビーイット公爵家は、今日でおしまいなの。

明日から、ビーイット男爵家として、イリダ殿の妹が当主になる。

イリダ殿の働きで、ビーイット公爵領に巣食う者達を退治できたといえなくもないの。

イリダ殿が、ボクを拉致したことにより、ボクを助けに来たボクのお父様のお友達の龍は、結果的にビーイット公爵領を助けた。

結果だけをみると、イリダ殿は、ビーイット公爵家の長年の憂いを取り除いた。

もし、イリダ殿が、公爵家の嫡子ではなく、王子様として生まれていたなら。

イリダ殿には、称賛が寄せられたの。

ボクを拉致するのも、ボクのお父様を勝手に働かせるのも、コーハ王国として、やってはダメだから、そのへんは、王子様として、責任をとることになって、臣籍降下して、王子様じゃなくなっていたとは思うの。

でも、今のイリダ殿は、公爵家子息。

王子様なら、同じことをして、同じ結果を出して、褒められることでも。

公爵家子息の領分を超えた振る舞いをしては、ならない。

王子様と公爵家子息との間には、超えられない壁があるの。

イリダ殿が、罰せられる理由は、ボクを拉致したから、という理由だけではないの。

イリダ殿は、階級社会のコーハ王国において、公爵家子息としての身分を理解して、公爵家子息の身分にあった生き方をしなかった。

その結果。

イリダ殿の目的は、果たせたけれど、イリダ殿自身は、罰をうける。

ビーイット公爵家は、10年の猶予を与えられ、明日からは、ビーイット男爵家として再出発。

現当主は、最後のビーイット公爵家当主として、今夜、人生の幕をおろす。

イリダ殿の弟、マルビル殿は、公爵家子息でありながら、公爵家子息としての責任を果たさなかった。

ビーイット公爵家の困難に立ち向かうことをしなかったこと。
と。
ボクを拉致した兄を止めず、犯罪に加担し、実行犯になった。

2つの点から、取り調べ終了後、人生の幕引きが決定している。

イリダ殿は、公爵家子息としての責任を果たしたが、その過程が、目をつぶることができない程の被害をもたらした。

アンタッチャブルな組織の使用方法を守らなかったために。
国内を混乱に導き、
国内の貴族子弟の命を蔑ろにし、
捜査にあたった近衛の将来を閉ざすことになった。

ボクを拉致するという犯罪を主導したことで、ガラン家と国の関係に亀裂を入れた。

今回の件は、ビーイット公爵領の問題の解決にも繋がったため、国は無視できない。

国は、ガラン家に譲歩せざるを得なくなった。

ボクのお願いが、難なく、叶えられると予測できるくらいには。

だから。
イリダ殿に未来はないの。

イリダ殿は、事情聴取が終了次第、国に損害を与えた責任をとる。


もう、覆らない未来。

イリダ殿は、分かっていないのかしら?

それとも。

分かっているから、苦しくて、やるせないのかしら?

周りに無関心になるくらいに。
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