フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

941.フィリスの執事、ツーニール。鬼畜ですかって?いえいえ、ただの人生経験が豊富なだけの普通の男です。

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キューブ傭兵団の懐柔に失敗したの、ボク。

ツーニールが教えてくれたの。
「相手が大人でも、子どもでも言えることですが。」
と前置きしてから。

「この世の中には、とてもとても手のつけようのない馬鹿が存在します。」
とツーニール。

「それは、さぞ、苦労することでしょう。お気の毒なの。」

「馬鹿がいますと、本人の周りが、本人の倍以上、気の毒なことになります。」
とツーニール。

「それは、もう。なんとお慰めしたらよいのかしら。おかけする言葉に困るの、ボク。」

「慰めようとお考えになる、そのお心が尊い。」
とツーニール。

ツーニールが、感無量と呟く。

「今、私達は、まさに、気の毒な状況になっています。」
とツーニール。

「待て、今の流れだと、馬鹿呼ばわりされているのは、うちしかねえんだが!」
と熊男。

「ええ。今まさに、私達は、史上稀に見る馬鹿と向き合っているのです。」
とツーニール。

「そうだったの。」

「坊っちゃんは、何を素直に頷いてやがりますかね?そこは、『失礼なことを言ってはいけません。』と執事をたしなめないといかんだろうが、坊っちゃんは。」
と熊男。

「馬鹿と向き合うのに必要なもの、は、ズバリ体力です。」
とツーニール。

「執事。おい、聞こえているだろうが。無視すんなや。」
と熊男。

「馬鹿には、馬鹿を貫くための体力が無尽蔵にあるのです。」
とツーニール。

「スタミナ切れがない人間がいるなんて、驚いたの。」

「人間に限らず、特化した能力を持つ生き物は多くいます。馬鹿に特化した人間も中には、いるということです。」
とツーニール。

「執事のアクが強すぎんだろう?」
と熊男。

「馬鹿は、体力が続く限り、馬鹿を続け、体力が切れると、体力の回復を待ち、回復次第、馬鹿をやります。」
とツーニール。

「つまり、結論を申し上げると。」

「馬鹿と話し合うのは、無理です。」
ツーニールが重々しく締めくくる。
「誠に残念ですが。」

「嘘つけ。残念というツラを作ってから言いやがれ。」 
と熊男。

「お話が通じないなんて。ボク、どうしたらいいのかしら?」

ボクの懐柔策は失敗なの。

「まず、遊びに付き合ってやり、馬鹿の体力を削ります。後は、私達の命令を聞くことをご褒美だと疑わないように調教する。この方法が、馬鹿には効果的です。」
とツーニール。

「執事が鬼畜だ。執事の鬼畜さのせいで、坊っちゃんのちょいちょいアレな発言が、一気に薄まった。」
と熊男。

熊男は、ボクの護衛のオブライエンを見たの。

「ボクの執事もボクの護衛もあげないの。」

「どっちもいらん。いらんが、護衛は、まともなのか?」
と熊男。
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