フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

935.ボクの執事、ツーニールは、メルヘンチック・ハードボイルドの応援団員になったの。応援団員スタイルがよく似合うの。

ボクのことを知らないからといって、わざわざ教えてやったりはしないの。
「ボクのことを知らなかったのなら、知らないまま、ボクに従いなさい。」

「物凄く偉大なお方とお見受けするが、どこの誰だか名乗ってもらえねえか？」
熊男が低姿勢なの。

「不勉強なのは、申し訳ねえが、関わりのなかった貴族には詳しくないんだ。どこの紹介で来たんだ？」
熊男ったら、正直過ぎるの。

「ボク、そんなに軽い男じゃないの。自分で名乗ったりなんか、しないの。失礼しちゃうの。」

ボクが拒否すると、熊男は、ボクの背後に目を向けた。

「入り口で隠れて見ている奴、気づいてんぞ、コラ。説明しやがれ。」
と熊男。

「入り口？」
ボクは、振り返ってみたの。
「誰も隠れていないの。」

「隠れていないな。堂々としているな。思わず、紛らわしい言い方をしたが、隠れる気は、全くないな。あいつ等は、何をしているんだ？」
と熊男。

入り口に揃っているツーニールと応援団員を見ている熊男。
一目瞭然なの。
「ボクを応援しているの。」

「応援。応援か。応援している奴らは、貴族様とはどういうご関係ですかね？」
と熊男。

「ボクの執事と、ボクのお家の人。」

「分かりました。」
熊男は、今までで1番、ボクに丁寧になったの。

今になって、やっと、ボクから滲み出るカッコよさに気づいたのかしら。

ボクのカッコよさは、遅効性なのかしら？

いくら、ボクのカッコよさが、じわじわくるものだとしても、感銘を受けるのが遅いの。

「後ろの応援団員の執事。お宅の坊っちゃんを応援する気があるなら、とっとと出てきやがれ、コラ！」
熊男は、突然、ツーニールを呼びつけたの。

「ボクの執事に、用があるなら、ボクを通すの。ボクの執事なの。誰にもくれてやらないの。」
ボクは、熊男にパイプを向けた。

「貴族様の執事を取ったりしませんとも。大人の話をするだけで。」
熊男が、ボクを宥め始めたの。
失礼しちゃうの。
「まるで、ボクが癇癪を起こして、聞き分けのない子どもみたいなの。ボクは、大人なの。大人の話し合いなら、ボクはうってつけなの。」

「ああ。貴族様。大人の、といっても、年齢制限がありましてね。」
と熊男。

「大丈夫。ボク、だいぶ大人だもの。大人の話は余裕なの。」

「おい、執事！音の出ない拍手なんざ止めやがれ！坊っちゃんが大事なら、放置するなや！」
熊男が、ツーニールに叫んだ。

「放置だなんて。一生見守る覚悟をしている私に、酷い侮辱です。」
ツーニールは、ボクの隣に歩いてきたの。

ツーニールは、応援団員だから、頭に鉢巻きを巻いて、執事服の上に法被を着ているの。

「ツーニールがボクを一生見守るなら、ボクは、ずっとツーニールと一緒にいて、見守られる生活をするの。」