フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

930.ハードボイルド探偵フィリス・ガランが誕生する?

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夜の帳がおりてくる。

ビーイット公爵は、墓所に入る前の最後のご奉公に王城に行った。

確保したイリダ殿は、デヒルお兄様が、王城への引き渡し前に取り調べをしている。

アンタッチャブルな組織については、ボクも取り調べをするけれど、デヒルお兄様は、他にも聞くことがあるとおっしゃった。

デヒルお兄様のお仕事が済むまでに、ボクもお仕事を済ませるの。

さて。ボクは。
神気をくるくる風に乗せて飛ばしていく。
「舞え、舞え。踊れ、踊れ。光の粒となり、その存在を示せ。」
ボクが印をつけたビーイット公爵家の使用人達。

燐光が目印。

使用人の移動経路がうっすらと光の道を作る。

イリダ殿の捕獲が終わったので、光の道の追跡と、使用人の尾行用に、ガラン軍を使う。

光の道は、全て1つの場所を目指している。

どちらに案内してくれるのかしら。

光の道の終着点についてみたら。
キューブ傭兵団の本拠地だったの。

ボク、使用人達は、幾つも迂回して、色々な貴族の家に出入りすると思っていたの。

全員、直行直帰状態で、キューブ傭兵団の本拠地に入っていったの。

寄り道の心配がないなら、探偵がするみたいに、普通の尾行でも良かったんじゃないかしら?

帽子とマントとサングラスを用意したのに、全員が堂々とキューブ傭兵団の本拠地に入っていくから、探偵らしいことを全くしていないの、ボク。

警察権を持っているからっといって、ボクの気分は、
『御用だ、御用だ。神妙にお縄につけ。』
じゃなかったの。

陰謀を暴くために、ビーイット公爵家に入り込んだスパイを追いかけるハードボイルドを想定していたの。

追跡していたら、罠があったり、襲撃にあったり、何度も妨害に遭いながら、執念でたどり着く。

ボクの予定では、ボクは、ハードボイルドものの戦う探偵として、犯人一味を一網打尽にすることになっていたの。

ボク、張り切り過ぎたのかしら。

罠も襲撃もなかったから、すいすいと追いかけてしまったの。

スパイを追いかけてきた探偵としては、スパイの後を追って、キューブ傭兵団の本拠地に入るんだけど、想定外のパターンだったから、突入パターンを練り直さなくちゃ。

カッコよく本拠地に乗り込んで、ボクのカッコよさに痺れさせて、投降させようと案を練っていたのに。

後ろから、使用人達について入っていくだけなら、ただの変装したお客様なの。

気づかれずに侵入して、証拠を持ち出すか、と手に汗握る展開じゃなくて、応接室で、普通に接客されてしまうの。

何か、記念に残るような登場の仕方は、ないかしら?
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