フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

929.ビーイット公爵家は、キューブ傭兵団と、キューブ傭兵団に関係する貴族に貶められようとしていた。貶める方法は、外部から、だけかな？

イリダ殿捕獲報告は、まだ来ていない。

ビーイット公爵には、これから、公爵家が把握していた情報を吐き出してもらうの。

聞くのは、デヒルお兄様。
今後、各所の取引材料にするの。
ガラン家として。

ボクは、今から、ボクの運動する場所のチェックをして回るの。

不審物や、不審人物がいないか、調べなくちゃ。

キューブ傭兵団とキューブ傭兵団に関係する貴族が、ビーイット公爵家を貶めるために動いていたことが分かった以上、ビーイット公爵家の内部を調べないわけにはいかないの。

何人かは、前もって、ビーイット公爵家の内部に潜り込ませているんじゃないかしら？

ボク、近衛の偉い人だから、警察権を使おうと思ったら、使えるの。

使う場面なんて、滅多にないんだけど。

今日は、使う日なの。

どこから、見ていこうかしら。

ボクは、ボクの執事ツーニールと護衛オブライエンと3人で、ビーイット公爵の私室を出たの。

使用人通路を戻って、アタリをつけて、出てみる。

使用人通路とは違って、人目にさらされる前提の場所、綺麗な飾りがある廊下に出たの。

飾りの手入れは、行き届いていないけれど。

歩いていると、男性使用人を1人、発見したの。

ボク達、正面から、お客様として入っていないの。

ビーイット公爵の護衛シーリ・ポートとビーイット公爵が信頼している人間しか、ボク達の来訪を知らない。

使用人は、ビーイット公爵の私室がギリギリ見える距離にいる。

ビーイット公爵の私室を見ている。
ううん、見張っている？
様子をうかがっている？

使用人が、就業時間中にすることかしら？

泳がして、尾行するの。

古いお屋敷だからか、突然雨漏りすることがあっても仕方がないの。
昨日も今日も晴天だけど。
天井から、1滴、2滴、3滴。
何かしらが、ぽたぽたっと落ちてきて、頭や、髪や、顔が濡れたような気がすることも、人生にはあると思うの。
濡れたかな、と思ったときには、もう乾いているの。

尾行するときに、目印が欲しいとボクは思ったの。

無味無臭で速乾性なの。

液体に濡れた箇所が、時間経過と共に燐光を放つの。

暗闇で見る蛍みたいに良い目印になるの。

さて、他の使用人も探すの。

また使用人通路に逆戻りして、別の出口から出るの。

使用人通路にも詳しくなれて、一石二鳥なの。