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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

925.落ちぶれた公爵家の当主の側で、当主を守ってきた護衛の忠誠。

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シーリ・ポートは、焦っていた。
シーリ・ポートとフィリス・ガランという青年との直接的な出会いは、ビーイット公爵領だ。

下世話な噂も含めて、フィリス・ガランの情報は、おさえてある。

フィリップ殿下が、ご執心の相手。
公爵家が無関心でいれるはずもない。

それに。
ビーイット公爵家の期待の星の恋敵。
調査担当も気合いを入れて、取り組んだ。

だから、知っている。

フィリス・ガランという青年は、人前で嘘や誤魔化しを言わない。

そして。
ここ最近の付き合いで、確信した。

フィリス・ガランは、決定権を持っている。

シーリ・ポートの見える範囲で。
フィリス・ガランの意向は考慮の末に、ほぼ、全面的に受け入れられていた。

つまり。
フィリス・ガランは、決めたことを口にしている。
フィリス・ガランが口にしたことは、如何なく遂行される。

シーリ・ポートは、フィリス・ガランの発言に慌てたが、居合わせた公爵家の誰も彼も、シーリ・ポートの焦りに共感してくれなかった。

シーリ・ポート以外は、実際のフィリス・ガランと接したことがない。
遠目に見ているだけでは、物足りなさを覚える青年。
それが、フィリス・ガラン。

噂も遠目に見える姿も、全て、フィリス・ガランの虚像。

本人か?
関係者か?
第三者か?

今となっては、誰が、フィリス・ガランをそう見せたのか、と犯人探しをしたいくらいだ。

誤認させたのは、誰かがわざと?

わがまま姫だの、尻軽だの、淫乱だの、男好きだの、裏口だの、実力不足の贔屓の引き倒しだの、おねだり魔だの、虎の威を借る狐だの。

悪評はつきないが、そのどれもが、フィリス・ガランの側面を切り取ったものでしかなかった。

フィリス・ガランは、やると言ったら、周りを動かして、やり遂げる青年だった。

今日のビーイット公爵の寝床については、何も触れず、墓所に入れるというフィリス・ガランの発言は、脅しでもなんでもない。

フィリス・ガランは、決定事項を口にしている。

今日が、ビーイット公爵とシーリ・ポートの永遠の別れになるのだ。

公爵に詫びさせるのも、名前を名乗らせるのも、今さらだろうか。
間に合わないのだろうか?

それでも、可能性が少しでも、残っているなら。
賭けのようなものでも、いい。
主君を助けるために、悪あがきをする。
シーリ・ポートは、ビーイット公爵家当主の護衛。
ビーイット公爵を守るために、ビーイット公爵家に戻ってきた。

いっぱい引き連れて、だが。

だから、シーリ・ポートは粘る。
自分が、大恥をかいて、笑われることになろうと。

シーリ・ポートの助けたい命は、シーリ・ポートの主君だから。
「閣下、こちらは、フィリス・ガラン。ガラン子爵家の4男。不甲斐ない私の命を救って、こちらに送り届けてくださったのです。」
シーリ・ポートは、主君とフィリスの間に立った。

もし。
シーリ・ポートの思い描いた通りにいかなくても。

主君が、シーリ・ポートの隠された真意を読み取らなくても、恨みはしない。
シーリ・ポートが、護衛として、力不足だっただけ。

フィリス・ガランが、シーリ・ポートの小芝居をぶった切って、ビーイット公爵を亡き者にしようとするなら、主君が生き延びるチャンスをつくるために、シーリ・ポートは、動ける限り戦う。
その戦いで、2度と立ち上がれなくなっても。

1度きりの人生。
自分の命の使いどころは、決まっている。
ビーイット公爵家の当主の護衛に就任した日から。

それが、シーリ・ポートの誇り。
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