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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

899.ボクの腹案を披露しちゃうの。ビーイット公爵家をどうする?問題。

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デヒルお兄様の言葉にシーリ・ポートは息を飲む。

ガランに三顧の礼をするならともかく、利用する発想はいただけないの。

ガランは、守護神や救世主ではない。平易に言うと、ご意見番。

ご意見番は、相談にのりはしても、自らは動かないものなの。

ビーイット公爵家の当主が勘違いした。
ガランは、コーハ王国が困ったときに助けてくれる、と。

ガランは、困った事態を引き起こした当事者に責任を果たさせることはあっても救いの手を差し伸べたりはしない。

相談しにきたら、知恵は授けたけど、手は貸さない。

困ったから、と勝手に持ち出して、利用してよい道具ではない。

デヒルお兄様の腹立ちが何か。
シーリ・ポートは、正確に理解した。

「ビーイット公爵家は、社交から遠ざかりながらも、情報を集めるための人員育成は怠らなかった。閉じこもることで、家は存続したが、繋がりは失われた。」
とデヒルお兄様。

シーリ・ポートは黙って沙汰を待つ。

「フィリスの希望は?」
とデヒルお兄様。

ボクは腹案を出す。
「イリダ殿とマルビル殿は身柄をガランへ引き渡しの上、処刑。
ビーイット公爵家の当主は娘に当主の座を譲り、ビーイット公爵家はビーイット男爵家に。
ビーイット公爵家の領地は国へ返還。
娘の代で、ビーイット男爵家を畳むかどうかは、今後10年で决める。
いかがでしょうか?」

「よく出来た。」
とデヒルお兄様。

口には出していないけれど、ボクは決めているの。
ガランへ身柄の引き渡しが済んだら、イリダ殿とマルビル殿が、転生者かどうかの確認する。
この世界に馴染むつもりがなく、引っ掻き回すだけなら、マーゴットの新しい下僕に魂ごと消して貰うの。
ボクの安心と安全のためにね。
これは、ボクのわがまま。

今回、ボクが生きて王都に帰還出来たのは、幸運が重なったおかげ。
ボクが、元フェンリルから解放されて、王都でデヒルお兄様とお話しているのは奇跡だと思うの。

拉致されたのが、ボクではなく、ハーマルお兄様だったら?

茶色い小鳥のチャーチャが元フェンリルに影響を受けた土地で無事にいられるとは思わないの、ボク。

相棒は、人生のパートナー。
結婚してできる伴侶とは、別物。
相棒は、ボク達人間が死ぬまで寄り添ってくれる。

もし、チャーチャが不調になったら、ハーマルお兄様の心身に響く。
大切な相棒の不調に無関心ではいられないもの、ボク達。

もし、また同じ様に、ボクが拉致されたときに、龍が来てくれるとも限らない。

龍が降臨しなかったら、ボクは、一生、元フェンリルのメスにされていたの。

ボクじゃ、元フェンリルに力が及ばなかったもの。

元フェンリルにメス扱いされたことを思い返すと、苦しくて悔しくて、怖くて、体が震えて、手足が冷たくなる。

安心できる場所で、泣きながら、眠っていたい。
怖いものがいなくなるまで、隠れていたい。

そんな思考がボクの行動を支配しようとする。

後で。
この事情聴取が終わったら。
アンドリューに抱いてもらって、嫌な記憶や感触をすり替えてしまうの。

ボクは、自分に言い聞かせる。

もうボクを蹂躙した元フェンリルはいない。
お父様と龍がやっつけてくださった、と。
元フェンリルの最期を思い返しながら、自分を落ち着かせるの。

怖いものは滅んだって。

もうメスにされないんだって。
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