フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

890.ボクは、ビーイット公爵家当主について考える。

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ビーイット公爵家の当主との面識はないの、ボク。

近衛別働隊の発足時に、お披露目会はしたけれど、個々の挨拶はしなかった。

ビーイット公爵家は、嫡子イリダ殿が引っ張っている印象を受けたの、ボク。
最初は。

でも、今、諸々含めて考えると、ビーイット公爵家の当主は、貴族のやり方を徹底することで、家と一族郎党を守っているのじゃないかと思い始めているの、ボク。

家族の情より、家を守ることに力点をおいて、強かに立ち回っていたのじゃないかしら。


嫡子であるイリダ殿に振り回されていた印象があるビーイット公爵。
ビーイット公爵が、娘の婿として、娘共々、ラウルを欲しがっていたのは、嫡子イリダ殿がしくじった後のことを見据えていたんじゃないかと思うの。

イリダ殿のやり方は、圧倒的な権力を持つ王としてなら通用するけれど、1貴族としては、急先鋒過ぎて、賛同者を得られない。

むしろ反発を招く。

ボクを拉致した件とアンタッチャブルな組織を使ったときの不手際で、イリダ殿は、ビーイット公爵家の嫡子ではなくなる。

イリダ殿に協力してボクに転移陣を仕掛けたマルビル殿も、後継ぎから外れる。

長男と次男を失っても、息子と関わりを持っていない長女に後を継がせることができれば、ビーイット公爵家の断絶は免れる。

8番手の様子から察するに、表に出てこない分家が、ビーイット公爵家には少なからずあると思うの。

忠臣がいなくなった後、身内しか頼れる人間がいないという状況が続いて、嫡子以外は、貴族との縁を繋ぐためではなく、分家として、新たな家臣にしたのではないかしら。

ビーイット公爵家の当主は、替えのきかない当主である自身ではなく、後継ぎとして替えのきく自身の息子イリダ殿に、後継ぎの権力と責任を負わせて、火中の栗を拾わせたのかしら。

当主が何もしなければ、当主がしくじって、お家断絶する危険はない。

ビーイット公爵家の存続のために、無念の死を遂げた忠臣の思いに報いるなら、ビーイット公爵家の存続こそが、当主の至上命題。

王子が臣籍降下して興した公爵家だけあって、ビーイット公爵家の直系の血筋は確かなもの。

たとえ、権力が形骸化していても、公爵家としての権威は保ってきた。

領地にこもって、社交を控えることで、内側から情報が漏れるのを防ぎ、外からの干渉を排除してきた結果、ビーイット公爵家は公爵家としての体面を保つことが出来た。

ビーイット公爵家が代々、お飾りに甘んじている姿は、どの程度が偽装だったのかしら。

完全にお飾りになっていたら、今の今まで、ビーイット公爵家は存続していないもの。

ビーイット公爵領の問題をビーイット公爵家は、解決できないということを理解して、ビーイット公爵家の代々の当主は先送りしてきたのかしら?
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