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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

877.龍とお父様。

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雷鳴がとどろき、稲妻がいくつも走り抜ける。

ボクにのしかかろうとしていた白い毛の塊は。
雷の集中豪雨にあって、ボクの手前で地面に落ちた。
ボトンと。
地面に落ちた元フェンリルに雷が落ち続けるのをボクは見ている。

元フェンリルが、微動だにしなくなるまで雷は落ち続けた。

元フェンリルが動かなくなったので、ボクは、意識を切り替えて、フェンリルの力を宿す子どもの姿を探すと、全て、地面に倒れ伏していた。

お父様が、来てくださった。
ボク、持ちこたえれた。

「フィリス。」
とお父様。
お父様が、中空から地上におりてくる。
「お父様。」
ボクが駆け寄ろうとすると
「近寄るな。」
と声がする。

龍がお父様に並んでいる。
4体の龍が。

「息子なんだよ。」
とお父様。

「綺麗にするまで待て。」
と龍。

ボクの4方に土の壁がせり上がる。
壁の内側に水が溜まっていく。
「息子よ。洗い清めるがいい。」
と龍が、壁の向こうから教えてくれる。

ボクは、オーバースカートとズボンと下着、ジャケット、ベスト、シャツ、靴と靴下の全てを脱いで裸になった。

龍の出した水に、全身浸かる。
ボクに貼り付いていた元フェンリルとフェンリルの力を宿す子どもの体液、匂い、嫌なものを洗い流して清める水。

ボクは、お尻の穴に指を入れて、広げる。

龍の水が、お尻の穴から、お腹の中へと上っていく。内蔵から嫌なものが取り除かれ、清められていくのが分かる。

ボクのボクにも、手を添えて、元フェンリルの唾液を洗い流す。

水は最終的に、ボクの頭の上まで水位が上がったけれど、ボクは水の中でも呼吸が出来たの。

神気のおかげかしら。
それとも、龍の水のおかげかしら。

ボクが綺麗になると、水はかき消えた。

ボクは急いで、下着、靴下、靴、と順に着ていく。

ボクが服を着終わると、温風が流れ込んできて、ボク自身も服も瞬く間に乾いた。

土の壁が地面に戻っていく。

ボクは、お父様に駆け寄った。
龍も止めない。
「お父様。お会いしとうございました。来てくださって嬉しゅうございます。」

ボクは、お父様に抱きついた。
ひと安心なの。
「よく頑張った。可愛いフィリス。」
お父様は、ぎゅっとボクを抱きしめてくださる。

生きて、お父様にお会い出来て良かったの。

「お父様、雷や雷鳴や稲光が集中しましたが、このままにして、よろしゅうございますか?」
元フェンリルとその信仰団体の集落は、落雷により火がついて、燃えているの。

「雷関係は、人ならざるものによる。」
とお父様。
「人の手に余るものでございますれば。」
ボク達、人間は、手出し無用。
龍のお力だもの。
有り難く恩恵にあずかるの。

気になることは確認したから、お父様に報告しなくちゃ。

「お父様、双剣使いは、ビーイット公爵家ご当主の護衛。他は、キューブ傭兵団の団員。王都で、彼らと1番にお話するの、ボク。」

「デヒルに連絡しておくから、王都でデヒルと合流しなさい。私は、ガラン領に行く。」
とお父様。

「お父様。助けてくださってありがとうございます。お父様がガラン領にお帰りになる前に、急ぎお伝えしたいことがございます。」
ボクは、神気の空間を作って、お父様とボクの2人きりになる。

ボクは、夜会に参加してから、ビーイット公爵家の嫡子イリダ殿と次男マルビル殿により、転移陣でビーイット公爵家に送り込まれた時点から、お父様に報告する。

「転移陣で王都から送り込まれた先がビーイット公爵家の領地での拠点。拠点の転移陣は、ビーイット公爵家に通じるから使わない方がいい。全員、私が転移陣で王都に送り返す。出先の調整は、フィリスがしなさい。」

その後、ビーイット公爵領の中で聞いたビーイット公爵領の乗っ取りにまつわるあれこれ。
元フェンリルの様子。
フェンリルの力を宿す子どもの語った、彼らからみた事実。
神気を使って見た、この土地の記憶。
元フェンリルの変貌。

ビーイット公爵家から送り込まれた者達とボクとの取り引き。

元フェンリルが、理由が分からないままだけど、薬物中毒の患者のようになっていたことに対して、お父様の見解を教えてくださった。

「元フェンリルは、自身が神性を失っているという自覚はなく、本能で、神気に惹きつけられたんじゃないかな。」
とお父様。

「どのような本能でございますか?」
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