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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

854.やってきました、龍の里。先駆者がいたら、続きたくなるものだよね。

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龍の里に入るときは、入った、という感覚がある。

龍の里は、龍だらけ。

地中、水中、空中、龍。

どこを見ても、龍。

ダルクは、龍の里にいる龍に呼びかける。

「神性を失ったフェンリルと信者に捕まって、神性を失ったフェンリルの嫁にされそうになっている息子を一緒に助け出してくれないか?お礼は、相談して用意したいから、希望を出してほしい。」

ダルクの声に、水面を飛び石のように跳ねていた水龍が最初に反応した。

「神性を失ったフェンリルとは珍しい。人の世か?」
と水龍。

「そうだよ。人の世だ。龍の里とは次元が違うけれど、同じ世界に人は住んでいて、私はそこの住人なんだ。」
とダルク。

「フェンリルの嫁なら悪くなかろう。」
と水龍。

「悪いよ。息子は神気が使えるけれど人の身で、人の世に生きている。神性を失っていようがいまいが、フェンリルの嫁にはしないよ。息子も泣いて助けを求めているんだ。」
とダルク。

「息子は神気が使えるのか。ならば戦えるであろう?」
と水龍。

「息子は人の世で、人の身で生きているから、戦いに神気をドバドバ使うのは、何が起きるかわからなくて使いづらいんだ。家で遊ぶ分には使っているよ。」
とダルク。

「ふむ。遊ぶとは?」

「神獣や御神木と遊んでいるね。息子は歌ったり、踊ったりするのが好きなんだ。小さい時は、枯れ木に花が咲いたりしていたよ。」
とダルク。

「神獣がいるのか。」
と水龍。

「うちにはいるよ。人の世にはいない場所もある。」
とダルク。

「龍はいるか?」
と水龍。

「龍と呼んでいる神獣はいるよ。ただ、龍の里生まれかどうかは分からない。人の世の生まれかもしれない。」

「どのような龍だ?」

「空と池を行ったりきたりしているよ。」

「うちとやらに招待することを礼にするとよい。」

「来てくれるのかい?ありがとう。」
龍が呼びかけに応えてくれて、さらにガラン領に興味を持ってくれた。
ダルクは、両方とも嬉しい。

さて、ダルクが出発の話を水龍にしようとしたとき。

「楽しそうだな。」
近づいてくる龍がいる。

「息子を助けて、神格喪失したフェンリルを退治して、うちとやらによばれてくる。」
と水龍。
長い髭がひょろりと動く。

「楽しいのか?」
と近づいてきた龍は水龍に話しかける。

近づいてきた龍は火龍だ。

「初めてだから分からんな。」
と水龍。

「ふむ。では、共に行く。ヌシが心惹かれたなら、瑞兆。」
と近づいてきた火龍。

「旅の友とは風流な。風流というなら、わたしこそ行かねば。」
と空中に漂っていた龍。
こちらは、風龍だ。

「水、火、風、と並べば、我も行くほかあるまい。」
と地面から生えたように見える龍の頭が喋った。
地竜が、地面から体を出してきた。

「ふむ。水、火、風、土。4龍か。」
と水龍。

過剰戦力にならないかな?とダルクは思った。

神性を失ったフェンリルの実力を己の目で見たわけではないので、現地で考えるとしようと思い直す。

「そろそろ、出発していいかい?」
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