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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

852.フィリップ殿下(王子)、ウィルソン(公爵家)、シドニー(伯爵家)。気を使える人が、気を使うのが世の常なり。

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フィリスの拉致に無関係と判明した者は、帰宅が認められた。
ジーンは、フローレン嬢の婚約解消の件があるので、フローレン嬢と共に帰宅。

マルビルが、転移陣を投げた部屋を確認したシドニーは、フィリスの残したメッセージを確認したが、黙っていた。

国内貴族に拉致を企て、実行した勢力がいる。
手の内を明かすべきではない、とシドニーは判断した。
対策をとられるのは、避けたい。

サージェ侯爵家の家宅捜索で、ビーイット公爵家の嫡子イリダは見つからなかった。

ビーイット公爵家へ、嫡子イリダへの出頭命令の手続きを指示したフィリップ殿下の一団が、サージェ侯爵家を引き上げたときには、空が白み始めていた。

フィリップ殿下は王宮、ウィルソンは公爵邸、シドニーは近衛棟へ。

「シドニーは、報告か?」
とウィルソン。
「はい。心配しているんで。」
とシドニー。
「何か分かったか?」
とフィリップ殿下。

「フィリスが屋敷のどこかにいないかと、探しましたが、いませんでした。」
シドニーは話をずらした。

「転移陣を投げられてか?」
とフィリップ殿下。

「失礼ながら、マルビル殿が転移陣を使いこなせる想像ができなくて、投げたけど失敗して、そのへんにいないかと。」
とシドニー。

「転移陣を投げることもできないと思ったのか。」
フィリップ殿下は吹き出した。

「転移陣を投げたという現場を見ながら、公爵家のマルビル殿は失敗してそうだから、そのへんを探しますと宣言するのも憚られました。」
とシドニー。

「魔力があって、練習すれば、転移陣を投げるくらいできるが、できないように見えたのか。」
とウィルソン。

「ビーイット公爵家の次男とだけ聞いていたら、疑わなかったんですが、目の前で繰り広げられた景色が、あまりに強烈で。先入観を持ちました。申し訳ありません。」
とシドニー。

「シドニーの周りには、いないか?」
とウィルソン。

「はい。初めて見ました。」
とシドニー。

「今、近衛棟は、誰がいる?」
とウィルソン。

「ラウルとエスターは、まだ起きているかと。
引き継ぎは、アランかリッチェルです。
サブリーとユージュアルは、休ませます。
アンドリューとセドリックは、任務中です。」
とシドニー。

「連絡は、近衛棟だな。」
ウィルソンの確認に、シドニーは頭を下げた。
「よろしくお願いします。」

「王都邸にいたハーマルに、フィリスがいなくなったと連絡はついています。ビーイット公爵家の嫡子と次男による拉致で、行き先が不明の連絡もしないとですが、ハーマルは、家にいないかと。」
とシドニー。

「内政担当部署に乗り込んでいるかもな。」
とウィルソン。
「ハーマルを見たら、こちらからも連絡しておく。」

「よろしくお願いします。」

フィリスが見つからなかったこと。
フィリスの拉致にはビーイット公爵家の嫡子イリダと次男マルビルが噛んでいること。
イリダの出頭命令が出ること。

別働隊の幹部と、サブリー、ユージュアルにこれらを報告するまで、シドニーの今日の分のお仕事は終わらない。

フィリスが、知らない土地で泣いていないといいが。

早く、手掛かりを見つけて、迎えにいってやらないと。
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