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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

849.身の程知らずを極めちゃって、奥義を授かった感じですか?

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シドニーは、ビーイット公爵家ともサージェ侯爵家とも親しくない。

社交界で、仲良くしたこともない。

話には聞いていた。

ビーイット公爵家の次男マルビルは、公爵家の人間として、褒められたものではない、ということは。

あちらこちらで、恥の上塗りをしている、とまで言われているにも関わらず、マルビル本人に自省を促しても効果はなく、ビーイット公爵家も更生させる気がない、という話だった。

百聞は一見にしかず。

まさか、ビーイット公爵家に縁もゆかりもないシドニーが、その現場にいることになるとは。

公爵家、云々ではなく、貴族子弟として、なっていない。
自国の第4王子の命令を聞き、目撃者多数の夜会であるにも関わらず、無視してやり過ごそうと考えて実行に移す貴族子弟。

コーハ王国に10しかない公爵家の次男だろうが、アウト中のアウトである。

フィリスを抱えて連れて行ったというビーイット公爵家の嫡子イリダ殿は出てこず、次男のマルビル殿は、周りにせっつかれて、しぶしぶフィリップ殿下の前に出てきた。

しぶしぶ出てきた、と会場中に丸わかりのマルビル。

ビーイット公爵家のイリダ殿とマルビル殿が、フィリップ殿下の正面に立てるように、とジーン、フローレン、シドニーは、フィリップ殿下の正面から移動している。

横にずれて、斜めからマルビルが視界に入る位置に3人はいる。

シドニーだけでなく、ジーンもフローレンも、マルビルの不敬っぷりに、ある種の大物感を感じていた。

身の程知らずを極めちゃって、奥義を授かった感じですか?

マルビルのふてぶてしい様子に、ウィルソンは眉を顰めて、王子の前でする態度ではないから、態度を改めるようにとマルビルに忠告した。

「呼ばれたから、来たのに、態度とか、言われなきゃならないなんて、出てこなければ良かった。」
とマルビルは、ウィルソンの忠告に返した。

「フィリスは、どこだ?知っていることを話せ。」
フィリップ殿下は、マルビルに命令した。

マルビルは、フィリップ殿下を馬鹿にした表情になった。

「知るわけないでしょう。」
とマルビルは半笑いで続ける。
「話せることは何もないんで、聞きたいことがあるなら、兄のイリダを捕まえて直接聞いてください。兄が素直に話す性格だとは思いませんけど?」

マルビルは、不機嫌そうな表情を作った。

「だいたい、聞きたいことがあるならって、人を呼びつけるもんじゃないでしょう。
本当に、何様なんですか?

教えてほしいことがあるなら、先にお伺いをたててから、教えて、と聞きにくるもんでしょう?」

フィリップ殿下に対して、出来の悪い他所の子どもに嫌味を炸裂させるかのように饒舌なマルビル。

「あと、兄がどこにいるかと聞かれても、知りませんから。用事があるなら、自分で探して下さい。」

マルビルは、さらに燃料を追加した。

「こんな、人前で、呼びつけた非礼を謝ってください。すっごく嫌な気分でした。」

ついには、フィリップ殿下に謝罪を求めるという暴挙に出たのだ。
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