フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

844.神と人と土地のバランス。

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デヒルは、神性を失ったフェンリルに対抗する条件を聞いて、結論を出した。

「父上に、父上の知り合いの協力を頼んでいただく。」
とデヒル。

「ダルクの知り合いは、強いけど、変なやつしかおらんやん。」
とパパラン。

「ガラン領に棲まう神は、ガラン領にいれば、神性を穢されることはないが、外に出た場合の影響は、人間の私には分からない。
外は、神に対する考え方がガランと異なる地域が多い。
始まりは、共存共栄の精神をうたっていても、末代まで同じ精神を貫けない地域も少なくない。
ガランは、早々に土地と神と人の結びつきが安定した稀な地域。
ガランを基準にはできない。」
とデヒル。

「そうねえ。デヒルの心配はもっともだわ。」
とオリベ。

布妖怪オリベは、生まれてから、世界中を見てきた。
人間の歴史も、人間以外の歴史も。
傍観者として。

オリベの視点は、絶対的な存在である神の視点とは異なり、機微に通じている。

「ガランの人間は、自分の信仰は自分のものだから、神の数だけ信仰が増えるわ。神同士も、信者同士も、あなたはあなた、私は私。他人の信仰を奪ったり、他人に信仰を強制したりしないわ。どれだけ信仰の対象が増えても、信仰の数だけ、豊かになる土地が、ガランだしね。」
とオリベ。

「そういうものじゃないのか?」
というワニ。

「他の土地は、奪い合いの手段に信仰が使われたり、信仰を貶めて、力を殺いだり、殺伐としているわ。」
と現実を語るオリベ。

「つまらんことを。」
とリクガメ。

「神獣同士で仲良く会議が出来るのは、ガランならでは。」
とオリベ。

「いい話。」
と御神木。

「霊石は、神獣の会議に出席するから、道を開けてと言って出かけるけれど、住民が伝言ゲームのように伝えて、道を開けてくれる地域なんて、ガラン以外にないわよ。」
オリベは、霊石を例えに出して説明した。

「転がる岩にぶつかったと岩を恨む人間も、世の中にはいるの。」
というオリベに、霊石はびっくり。

「神が、なんたるか知らない人間がいる?」
とシカ。

「いるどころか、そういう人間は、岩を神と理解しない。人間に都合の良い姿をしていて、人間を甘やかす神を求めるから。人間の欲望を叶えないのは、神の力が弱いせいと言い始める。邪神だと、神を貶めて、他人を雇って神殺しをする人間もいるわ。」
とオリベ。

「ろくなことをしない。」
とカバ。

「ガランは少数派だから。神と人と土地の安寧のために、今回は外部委託がいいわ。」
とオリベ。

「フィリスは、神獣が人間の都合で争うのを必死で避けようとしているの。」
オリベの言葉に神獣ネットワークの面々はすぐに心を決めた。

「フィリスの願いを叶えてやらんわけにはいかん。」
とゾウ。

「ダルクの縁で見つけてきたやつに任せるか。」
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