フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

817.ダンスで魅せちゃうの。

ボクは、ビーイット公爵家の嫡子のリードで踊っている。

最初から、複雑なステップのリードを開始するビーイット公爵家の嫡子。
ボクも負けずに、ハードルを上げていったの。
「踊りは得意なの。ダンスの時間は、楽しめるかしら？」

大きな動きや、ターンを続々決めていく。

最初から、注目の的だったけれど、ダンスが始まってからは、大注目。

男同士で、ダンスが得意なボクがパートナーだから、見栄えがする分体力を消耗するようなダンスも余裕綽々。
少々手荒なリードでも、難なくいなして、ボクのペースへ持っていける。

一曲で終わらせるつもりがなかったから、まだ踊れるでしょ？と煽って、何曲も踊っているボク達。

踊っているうちに、ビーイット公爵家の嫡子は、現代の型より、古い時代に主流だったダンスが得意なことが分かったの。

「最近の型に踊り慣れていないのは、先生に恵まれなかったのかしら？」

「ふん。」

「特定の時代で主流だったダンスは、基本から発展まで丁寧に仕上がっているの。いい先生に師事したことが分かるの。」

「ダンスが得意というだけはあるな。私のリードについてこれるとは。」
とニヤリと笑った公爵家の嫡子は、ボクを上へ投げて抱きとめた。

ボクを抱きかかえたまま、フロアから、出ようとする公爵家嫡子。

ボクは、急いで、ジーンとフローレン嬢に呼びかける。

「ジーン、お家から、たくさん呼んできて、フローレン嬢は安全にお帰り頂いたら、護衛を引き連れて、探しに来てほしいの。ボクは、浮気じゃないと信じてほしいの。ビーイット公爵家の嫡子が、ボクのダンスを気に入ってしまったの。」

ジーンとフローレン嬢が笑顔で、反応してくれたの。

一安心。

ビーイット公爵家は、兄弟揃って、強気なの。

ビーイット公爵家の嫡子と話し合いはしたいから、抱っこされたままで、いるけれど。

ボク、どこに連れて行かれるのかしら？