フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

815.割れ鍋に綴じ蓋。

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フローレン嬢は、凛として1人で立っていた。

ジーンとボクは、フローレン嬢の後ろに立つ。
「フローレン。何が起きた?」
とジーン。

フローレン嬢が説明しようとした途端。

サージェ侯爵家の長男が、先に口を開いた。
「フローレンとの婚約は、先程破棄した。理由は、フローレンが、婚約者と婚約者の家の派閥の者を蔑ろにしたからだ。」

「サージェ侯爵家と当家の婚約がなくなるのは、一向に構わない。パラディ殿と私の妹のフローレン婚約は、当家の当主に代わり解消するとこの場で認める。本日は、婚約解消について、この場での話はせず、持ち帰ることとする。後日、家同士で、婚約解消の手続きをとる。」
ジーンは淡々と話を進める。

サージェ侯爵家の長男は、淡々としているジーンに不満を隠さない。
「解消?破棄に決まっている。婚約者として役に立たな過ぎだ!」
と吐き捨てた。

妹の元婚約者に妹の悪口を聞かされて、ジーンはお怒りモード。
ジーンは、ぴくん、ともしないで怒るの。

「婚約破棄の理由として、私の妹を罵るのは、止めてもらう。不誠実な婚約者と、その婚約者が親しくしているご令嬢に迷惑をかけられたのは、こちらだ。」
ジーンの語気はきつい。

「おい、何を言う!」
と侯爵家の長男。

「私の妹に相談役として斡旋した自派閥のご令嬢と、妹の婚約者だったパラディ殿が、婚約者である妹を差し置いて、どれ程親しくしていたか、私が知らぬとでも?」
ジーンは、妹の元婚約者をねめつける。

「言いがかりだ。そんな話はない。」
と侯爵家の長男。

「フローレン嬢。元婚約者の周りにいるご令嬢方は、今夜、ボクとジーンが、フローレン嬢にご挨拶しにきたときに、フローレン嬢を囲んでいたご令嬢であっているかしら?」
ボクが、確認すると、フローレン嬢は頷いてくれた。

「あちらのご令嬢方は、元婚約者の家より低い爵位の出自かしら?」
フローレン嬢は、またまた頷いてくれた。

「フローレン嬢の元婚約者は、侯爵家の長男である自分の言いなりになる婚約者を求めていたと、さっき聞こえたの、ボク。」

よく、聞いていて欲しいの。
今から、元気が出るお話をするの。

「ビーイット公爵家の派閥の中で、サージェ侯爵家より爵位が低いご令嬢が、同じ派閥の爵位が上のご子息の正妻の座や愛人の座を狙うのは、割れ鍋に綴じ蓋なの。」

割れ鍋が、侯爵家の長男の比喩だと分かったかしら?

外野が、騒いでいるけれど、無視しちゃうの。

「鍋の夫婦の蓋を取り替えたところで、鍋なの。」

蓋は、ご令嬢。

ご令嬢が、複数いるから、取り替える前提なの。

「鍋には、鍋の使い道があるけれど、鍋に、鍋が合わさっても、蓋のない鍋が2つになるだけ。」

新しく増えた鍋は、フローレン嬢。

「割れ鍋に綴じ蓋の割れ鍋は捨てても困らないの。割れていない鍋があるもの。」

フローレン嬢は、割れていない鍋なの。

フローレン嬢の背中は、もう強張っていない。

良かったの。

「貴殿の主筋のビーイット公爵家のマルビル殿と当家は、縁を繋がないとここに宣言する。」
とジーン。
「家同士で、やりとりすることがあれば、各家の担当者がする。仕事は、国と近衛騎士団と近衛別働隊の話し合いを元に、決定する。」

ジーン個人の目的も無事に達成。

さて、次は、ビーイット公爵家の嫡子を釣り上げるの。
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