フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

814.婚約破棄されているのは、ジーンの妹？ ざまぁ支援部隊を結成して、駆けつけるの。隊員は、ボクとジーン。最強なの。

「ジーン。フローレンって聞こえたの、ボク。」

ジーンを見上げると、顔色は変わらないまま、一点を見つめている。

視線の先には、サージェ侯爵家の長男とフローレン嬢。

フローレン嬢は1人ぼっちなの。

ボクとジーンが挨拶しにいったときに、フローレン嬢といたご令嬢集団はどこにいったの？

気のせいかしら？

気のせいじゃないの。

フローレン嬢の周りにいたご令嬢集団は、全員、サージェ侯爵家の長男側に立っているの。

ボク、侯爵家の長男は、初対面からボクに対して失礼だと思ったけれど、婚約者のフローレン嬢に対しては、失礼な態度どころじゃないの。

「ジーン。ボクは、フローレン嬢の応援に行くの。ジーンも一緒に行くの。」

ジーンは、まだ様子見をしている。

でも、ボクはフローレン嬢のところへ行きたいの。

「ジーン。ボク達にざまぁはなかったけれど、フローレン嬢には、今から、ざまぁがあるの。」

ボク達は、フローレン嬢のざまぁ支援部隊なの。

今こそ、颯爽と駆けつけるの。

ざまぁ支援部隊は、主役のピンチを見逃さないの。

ジーンが、決心してくれたので、ボクは、悪役令息をしてくれた公爵家の次男マルビル殿に、失礼すると断ってから、急いで、フローレン嬢の元々へ。

すると、公爵家の次男マルビル殿も、ボク達の後をおいかけてくる。

ビーイット公爵家の派閥の中で、ビーイット公爵家は、名前だけ。
ビーイット派閥の実質的な柱は、本日の夜会の会場になっているサージェ侯爵家。

サージェ侯爵家の長男が婚約破棄した相手は、ビーイット公爵家の次男マルビル殿が迫っていたジーンの妹、フローレン嬢。

ビーイット公爵家の次男マルビル殿からすれば、人間関係も利害関係も、がっちり関係しているもの。

婚約破棄の騒ぎを無視出来ない。

サージェ侯爵家の長男とジーンの妹が、婚約していた繋がりがあったから、ビーイット公爵家の次男マルビル殿は、全く違う派閥の侯爵子息のジーンを紹介してもらえた。

ジーンの妹とサージェ侯爵家の婚約がなくなったら、ビーイット公爵家の次男が、個人的にジーンに会う機会はなくなる。

ジーンは、妹のフローレン嬢のエスコートや付き添いで、サージェ侯爵家に来ていた。

妹のフローレン嬢が、サージェ侯爵家に来なくなれば、ジーンも来なくなる。


ジーンのお家、侯爵家は、ウィルソンの公爵家の派閥のブレインの役目を果たしているの。

ウィルソンのお家の公爵家は、王族が興した家ではないから、中枢での立ち回りや采配は、国王陛下の従兄弟であるジーンのお父様が当主をしているジーンの侯爵家が切り盛りしている。

公爵家の子息が、他所の派閥のブレインを務める侯爵家のご子息にアプローチしたいなら、派閥のトップ同士の話し合いやジーンの侯爵家の意向を聞くなどの政治的な根回しや下準備が必要だったけれど、ビーイット公爵家は、当主も嫡子も、一切根回しをしていないの。

頭越しに、他派閥の有力な侯爵家のご子息に結婚を迫ったら、政治的な問題が勃発しないわけがない。

ビーイット公爵家のマルビル殿が、政治をどの程度理解して、ジーンにアプローチしていたか、ボクは知らない。

マルビル殿にも誰にも、フローレン嬢の邪魔はさせないの。

フローレン嬢には、ジーンとボクがついているの。