フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

798.人間の作り方は、トライ＆エラー。モルリダーラ王女が、自らの手で、処女懐胎技術を作り出すまで。

異世界転生者であったモルリダーラ王女。

モルリダーラ王女は、性行為を伴わないで、妊娠を可能にする方法を編み出した。

異世界の知識を元に、この世界の魔法技術を練り上げたこの方法。

魔法を使って、殿方の子種だけを女性の胎内に入れて、子どもを作る。

字面だけだと、子種が母胎の中に入ったら、妊娠するよね、ぐらいの認識になる。

モルリダーラ王女は、この方法を我が身に施す前に、領内に閉じこもって、研究に明け暮れていた。

モルリダーラ王女が、研究に明け暮れている当時は、ただの引きこもりだと考えられていたため、誰も気づかなかったことがある。

モルリダーラ王女は、確実に成功すると確信するまで、領内で処女懐胎の実験を繰り返していた。

実験には、領内の平民を使っていた。

なぜ、この事実が分かったか？

実験に使われた人間のうち、モルリダーラ王女に成功したと判断されたものは、最後の一握り。

処女懐胎の技術を確立するまでの成功しなかった例が、領内でたくさん見つかった。

実験の対象は、不妊に悩む平民夫婦。

トライ＆エラー。

トライ＆エラー。

モルリダーラ王女は、口ぐせのように繰り返していたそうだ。

妊娠するまでも、トライ＆エラー。

出産するまでも、トライ＆エラー。

無事に妊娠し、出産までたどり着いた最初の方の赤子は、異形だったらしい。

異形の赤子は、異形の理由を解明するべく、モルリダーラ王女が回収して、その後の消息は不明。

研究が進むにつれて、見た目は異形の赤子ではなくなっていく。

しかし、見た目は人間でも、中身は人間かどうか分からないものもいた。

その子ども達は、異常を感じとった両親や集落の住人から、モルリダーラ王女の元に戻されている。

この子ども達は、モルリダーラ王女の手を離れて、集団になり、暴れ出したために、集団の存在が認知され、捕獲に手を焼いたが、全員捕獲された。

この子ども達の集団は、多種多様な能力を駆使し、モルリダーラ王女が管理しなくなった後、子どもだけで、生きていた。

最後に、人の赤子の姿で生まれて、人の姿で成長していく子ども達を確認してから、モルリダーラ王女は、我が身に技術を使っている。

モルリダーラ王女の処女懐胎の技術には、今も尚、疑問点が多い。

異形の赤子は、赤子を形成する技術が不完全だった結果、と推測されている。

異形の赤子は、異形の理由を探るためにモルリダーラ王女に回収されたが、出生後、姿を確認された例はない。

人の姿をとりながら、中身に人間にはない違和感を覚えて、親から突き返された子ども達は、人の子の姿になるために、人以外の何かに取り憑かせたのではないか？と推測されている。

異世界の技術の理論や理屈を理解せず、現象だけを魔法で真似した結果だろう、と当時の担当者は、推測している。

当時の担当者は、人の姿をした人の赤子が生まれてくるまでの経緯を聞いて、成功とされる赤子にも、何かが融合されて強化した結果ではないかと疑った。

確証は掴めないままだが。