フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

797.打ち合わせの大前提とか、共通認識って大事だよね？後で、爆弾を投げ込むとなれば、なおさら。敵を知り己を知れば百戦殆うからず。

ボク達、近衛別働隊の幹部は、打ち合わせをしている。

2つの公爵家について、情報を集めて、皆で方向性を決める。

ボクが、ハーマルお兄様に、何かご存知ないかしらとお聞きしていると。

どこからともなく現れたハーマルお兄様の婚約者が、美味しい情報があるけど、聞きたい？って。

ハーマルお兄様の婚約者である公爵家の次男の方が、内政担当なのだけど、教えてあげるから、一枚噛ませて？と。

後で、皆に相談しなくちゃ。

ボク、貴族のあれこれ上手に出来るかしら？

心配なの。

今まで、貴族がどうのとか、気にしたことなかったもの。

ボクは、上に立つ側だもの。

気にするのは、下々のお仕事だと思っていたから。

でも、貴族社会で、お仕事をするには、敵を知り己を知れば百戦殆うからず、なの。

考えを改めて、少し、詳しくなるの。

別働隊の幹部に集めてもらった情報をまとめてみるの。


まず。
パールヘット王子が臣籍降下して興したビーイット公爵家。

歴代当主は、領地に引きこもるか、王都邸に引きこもるかして、趣味に生きている。

領政の政策に、公爵家は、ほとんど関与しない。
領地貴族に丸投げで、うまくいっている稀有な例。

今代当主は、嫡子が台頭してきてから、嫡子と一緒になって、中枢へ色気を出し始めた。

嫡子は、当主をたててはいるが、当主ではなく、自身が中枢へ参入することを念頭に置いているとみられる。

父と嫡子が中枢に関心を持ったのが先か、弟妹が結婚相手を探し始めたのが先か、はっきりとはしない。
父と嫡子に倣ったのか、弟妹は、領地にこもるより、王都での暮らしを実現できる結婚相手を探している。


次に。
モルリダーラ王女が臣籍降下したローバウル公爵家。

歴代当主は、公爵家の成り立ちを理解し、目立た過ぎないように生きてきた。

当代当主も同様。

嫡子は、目立つことを良しとする振る舞いが多々見られる。

嫡子に引きずられるように、弟妹も大胆で派手になった。

当主夫妻の諌める声は、子ども達に響かず、行動は派手になっていくばかり。

ローバウル公爵家の成り立ちを知っている貴族家は、嫡子を含めた次世代の動向を懸念し、警戒している。

共通認識をありがとうなの。

では、今から、ボクのとっておきを投入するの。

内政担当の公爵子息に、一枚噛ませて、と言わしめた理由に繋がるの。