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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

788.ガランを罵らない派閥?

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「フローレン。その話の出処を探して報告しなさい。」
と侯爵。
「政治的な思惑が隠されているかもしれない。」

「子どもの世代にだけでしょうか?親世代も調べてみましょう。」
と侯爵夫人。

「話し始めた人を見つけるんですね?知らない人の方が少ないと思います。誰から聞いたか、分かるとは思えません。話している人が聞く人になったりしています。」
とフローレン。

娘が消極的な態度なのを見て、侯爵は言った。

「フローレン。ガラン家を悪くいう動きにのまれないようにしなさい。我々は、ガランを悪し様に罵らない派閥だ。」

「どういう派閥なんでしょうか?」
と消化不良のフローレン。

「そのままの意味だよ、フローレン。ガランを罵る派閥と罵らない派閥が出来ている。昔は罵る派閥なんてなかった。ガラン家は、コーハ王国にとって、軽んじてはいけない家だ。聞いてきた噂を調べてみたい。今、知っている話は何かあるかな?」
と侯爵。

「フィリス・ガランについては、
逆ハーレムを作って、適齢期の前途有望な若者を独り占めにしている、というのがあります。イイ男と見たら、節操なく誘惑して体で捕まえると。」
とフローレン。

「他には?」
と侯爵。

「ガラン子爵家は、辺境の田舎で、子どもの教育が十分行き届かない。子どもは、皆わがままで、不出来でブサイクだと言われています。」
とフローレン。

「噂というより、陰口ね。」
と侯爵夫人。
「周りが華やかだから、目立たないだなけで、フィリスは整った顔立ちをしているわ。」

「フィリスの兄と父も同じ系統の顔立ちをしていて、ブサイクとはかけ離れている。仕事ぶりをみても不出来な者は1人もいない。」
と侯爵。

「フィリスの逆ハーレムというのは、うん。」
と侯爵は言葉に詰まった。

「モテるから、人が集まるのですよ。逆ハーレムだと騒いでいるのは、嫉妬と僻みでおかしくなった人と、それを見てあざ笑う人。フローレン。今度、誰が騒いで、話を広げていくのか、見てきなさい。」
と侯爵夫人。

「フローレン。ガラン家について、話をしておこう。」
と侯爵。
「フローレンには、ガランを罵らない派閥の中心にいる1人だと自覚を持ってもらいたい。」

侯爵は、娘に簡単に話し始めた。

ガランとコーハ王国の始まりについて。

国王陛下と王妃陛下と2つの公爵家が、おかした過ち。

フィリップ殿下と、廃嫡になった2人の公爵家嫡子と私物化された近衛の暴挙により、フィリスが王城から拉致されて、近衛にされてしまったこと。

国王陛下と王妃陛下とフィリップ殿下以外の事件に関与した者は、全員王都からいなくなったこと。

近衛別働隊が出来たのは、国王陛下とフィリップ殿下と公爵家の嫡子2人と、公爵家に私物化されていた近衛の暴挙を丸くおさめるために、フィリスの兄が策を練って実現にこじつけたこと。

フィリスの兄が迅速に動かず、その采配に従う王侯貴族がいなかったら、フィリスの成人の儀の年に、今の王家が全滅するか、コーハ王国がなくなっていたこと。

高位貴族の当主は、王家が入れ替わるか、国がなくなるかの瀬戸際に居合わせたから、ガランを罵らない派閥なこと。

つまり、ガランを罵る派閥は、高位貴族の当主以外で構成されている。

ガランを罵る派閥の方が、決定権はないが、数が多い。

集団で暴走する前に瓦解させないと、次は、国の存亡がかかってくる。

話を聞いたフローレンは、予想だにしなかった秘密に驚き、高位貴族当主の秘密を共有する仲間に入ったことに鼻が高くなった。

「フローレン。今までは、親や兄の姿で分かるものと教えてこなかった。うちは、罵らない派閥でも重要な家だ。国王陛下の従兄弟が当主の侯爵家だからね。これからは、ガラン家を罵らない派閥の一員として、立ち回れるかな?」
と侯爵。

「はい。お父様。一員として、精力的にいきます。でも、ジーンお兄様をフィリスの逆ハーレムに入れるのは賛成いたしかねます。ジーンお兄様は、逆ハーレムの一員なんかではなく、もっと大切にされるべき素敵な男性ですから。」
とフローレン。
「今から、フィリスと話をしてきます。」

「穏便にね?」
と侯爵夫人。

「お母様。わたしは暴れたりしませんから。」
とフローレンは、部屋を出ていく。

「フローレンが理解したので、寿命は伸びた。」
と侯爵。

「兄が好きすぎると自覚があるのに、自覚したまま生きているからでしょうか。ガラン家の陰口がフィリスの陰口より適当な内容なのは、兄を取ろうとしているフィリス程の興味がフローレンにはないのでしょう。」
と侯爵夫人。

「ジーンの取り合いなら、ジーンがうまくいなすだろう。よくあることだ。」
と侯爵。
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