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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!
785.ジーンのご両親とフィリス。挨拶は受けるもの一辺倒のフィリスが、予行練習なしに挨拶を返すようになった。成長したなあ。
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今日は、仕事終わりにジーンのお家に衣装の打ち合わせに行くの。
ボクだけじゃなく、ガラン家の執事と使用人も一緒に。
衣装の打ち合わせをするには、手配とかあるからね。
ボクの衣装は、ガラン領の生地を使って、ガラン領の職人が仕立てるから、運搬と最終調整を考えると、当日配達は困るもの。
ジーンのお家についたの。
ボクの執事のオブライエンとガランの使用人達と一緒に、案内してもらう。
ジーンは、先にお家に帰って、ボク達を迎える準備をしていてくれた。
「時間がないので、ご挨拶は簡単にするの。」
ジーンに伴われて、ジーンのご両親の侯爵夫妻に挨拶に行くと、部屋には初めましての女性が。
「うちの第3子、長女のフローレンだ。」
と侯爵が紹介してくれる。
「ガラン子爵家第4子、フィリスです。」
とジーンの妹にご挨拶。
「まあ、それだけ?」
とジーンの妹。
「挨拶だから。」
とジーン。
「はい。ボク、今からジーンと衣装の相談をしますので。」
とボクは、ジーンと退出。
ジーンの妹の発言の主旨がよく分からないので、ジーンに確認する。
「フローレンは、侯爵家のご令嬢として、挨拶の後に、褒め称えられてきたせいか、挨拶と褒め言葉は繋がっていると思っていたようだ。驚かせたな、フィリス。」
「理解させておいてほしいの。ジーンの妹と喧嘩はしたくないもの。」
跪いたり、媚びへつらったりするのは、ボクのすることじゃないの。
「そうだな。今まで、フィリスと接点がなくて、フローレンの反応に気づかなかった。夜会に行く前に言い聞かせる。」
「よろしくなの。」
ボク達は、衣装合わせの相談をするため、広い机がある部屋に入った。
ジーンとフィリスが退室した後のフローレンは、ぷるぷる震えている。
「なんですの?今の。」
フローレンの心情を、侯爵夫妻である両親は理解していないようだ。
夫妻は、フィリスとの付き合いが長い。
出会った頃のフィリスは、挨拶は受けるもので、返すものだと知らなかった。
出会った頃のフィリスだったら、娘を紹介されたら、苦しゅうない、楽にせよ、と言っていたはず。
フィリスが近衛になり、ジーン、シドニー、ラウル、エスターがフィリスの教育係になってから、4つの家は、家ぐるみでフィリスの教育をした。
宮廷文化で教育されてきたフィリスは、コーハ王国の貴族子弟としての基礎から、根気強く、丁寧に教えなくてはならなかったので、成人したとはいえ、10代のジーン達には人生経験が足りなかった。
言葉遣いや、仕草、思考回路が完全に天上人のそれだったフィリス。
貴族子弟の習慣、文化、振る舞い、常識、思考回路など、フィリスが混乱しないように根気よく教えた。
ガラン家の子どもには、貴族文化の教育なぞ不要なので、世間一般のことを教える教師が存在しない、とフィリスの長兄デヒルが末弟の教育を投げてきたのだ。
『困らないかね?』
とデヒルに問えば。
『下の人間が、上に倣うものだ。』
とデヒル。
つまり、デヒル自身が上の人間だから、下が合わせてしかるべし、の世界で生きていることが分かった。
ガランとは、そういうもの。
割り切って付き合えば、付き合いやすい部類の人間だ。
近衛モードでないときは、宮廷文化の言動が花開いているフィリスだが、最初を思えば、成長を実感する。
言われる前に、予行練習しないで、挨拶できるようになったんだね、人の世界の礼儀作法に馴染んだんだね、我々も苦労した甲斐があった、てなもんである。
宮廷文化との違いを知るために、宮廷文化を調べたら、作法も常識も違いすぎた。
フィリスに教えるために、並々ならぬ苦労があった。
年の離れた第3子であるフローレンは、異性であるフィリスとの交流などなかったから、そんな事情を知らない。
「あんな、軽く扱われたのは初めてですわ。」
とフローレン。
ボクだけじゃなく、ガラン家の執事と使用人も一緒に。
衣装の打ち合わせをするには、手配とかあるからね。
ボクの衣装は、ガラン領の生地を使って、ガラン領の職人が仕立てるから、運搬と最終調整を考えると、当日配達は困るもの。
ジーンのお家についたの。
ボクの執事のオブライエンとガランの使用人達と一緒に、案内してもらう。
ジーンは、先にお家に帰って、ボク達を迎える準備をしていてくれた。
「時間がないので、ご挨拶は簡単にするの。」
ジーンに伴われて、ジーンのご両親の侯爵夫妻に挨拶に行くと、部屋には初めましての女性が。
「うちの第3子、長女のフローレンだ。」
と侯爵が紹介してくれる。
「ガラン子爵家第4子、フィリスです。」
とジーンの妹にご挨拶。
「まあ、それだけ?」
とジーンの妹。
「挨拶だから。」
とジーン。
「はい。ボク、今からジーンと衣装の相談をしますので。」
とボクは、ジーンと退出。
ジーンの妹の発言の主旨がよく分からないので、ジーンに確認する。
「フローレンは、侯爵家のご令嬢として、挨拶の後に、褒め称えられてきたせいか、挨拶と褒め言葉は繋がっていると思っていたようだ。驚かせたな、フィリス。」
「理解させておいてほしいの。ジーンの妹と喧嘩はしたくないもの。」
跪いたり、媚びへつらったりするのは、ボクのすることじゃないの。
「そうだな。今まで、フィリスと接点がなくて、フローレンの反応に気づかなかった。夜会に行く前に言い聞かせる。」
「よろしくなの。」
ボク達は、衣装合わせの相談をするため、広い机がある部屋に入った。
ジーンとフィリスが退室した後のフローレンは、ぷるぷる震えている。
「なんですの?今の。」
フローレンの心情を、侯爵夫妻である両親は理解していないようだ。
夫妻は、フィリスとの付き合いが長い。
出会った頃のフィリスは、挨拶は受けるもので、返すものだと知らなかった。
出会った頃のフィリスだったら、娘を紹介されたら、苦しゅうない、楽にせよ、と言っていたはず。
フィリスが近衛になり、ジーン、シドニー、ラウル、エスターがフィリスの教育係になってから、4つの家は、家ぐるみでフィリスの教育をした。
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言葉遣いや、仕草、思考回路が完全に天上人のそれだったフィリス。
貴族子弟の習慣、文化、振る舞い、常識、思考回路など、フィリスが混乱しないように根気よく教えた。
ガラン家の子どもには、貴族文化の教育なぞ不要なので、世間一般のことを教える教師が存在しない、とフィリスの長兄デヒルが末弟の教育を投げてきたのだ。
『困らないかね?』
とデヒルに問えば。
『下の人間が、上に倣うものだ。』
とデヒル。
つまり、デヒル自身が上の人間だから、下が合わせてしかるべし、の世界で生きていることが分かった。
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割り切って付き合えば、付き合いやすい部類の人間だ。
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言われる前に、予行練習しないで、挨拶できるようになったんだね、人の世界の礼儀作法に馴染んだんだね、我々も苦労した甲斐があった、てなもんである。
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年の離れた第3子であるフローレンは、異性であるフィリスとの交流などなかったから、そんな事情を知らない。
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