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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

780.報告や伝達出来ない情報の価値って?

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「公爵家の嫡子が仲介した人物からたどり着いた人間と何があったか、話すことは出来るかしら?」

出来ない、と。

「たどり着いた人間と何があったか、覚えているかしら?」

覚えている、と。

「国への忠誠を捨てたのは、たどり着いた人間と出会った後かしら?」

後、と。

「キミ以外に、国への忠誠を捨てた人間がいると知っているかしら?」

知らない、と。

ボクの問いかけに、驚いているの。
「何か、驚くことがあったかしら?」

「捜査情報を共有していたなら、キミ以外でも、同じことが起こり得るんじゃないかしら?」

起こり得ない、誰でも、ではない、と。

「たどり着いた人間との接触は、隊での判断ではなく、独断なのかしら?」

独断、と。

独断で動いて、同じ目にあったのが何人もいるのね。

「たどり着いた人間との接触を誰にも話していないのかしら?」

話していない、と。

「話していない理由は、話せるかしら?」

話せない、と。

「話せないのは、忠誠がその人間にあるから、かしら?」

侯爵子息は、迷いながら、頷いた。

「その人間に、また会いたいかしら?」

会いたい、と。

「その人間について、答えることは出来るかしら?」

出来ない、と。

仕えたい主を見つけて、忠誠を捧げてしまった構図だけど、そういう風に持ち込まれたのだと思うの。

忠誠を捧げた相手のことを考えているときは、満足そうにしている。

この侯爵子息は、忠誠心を盗られたということなの。

相手は、侯爵子息じゃなくても良かったの。

警告であり、見せしめだから。

コーハ王国の愚か者に対する、ね。

相手は、侯爵子息を使って、分かりやすい罰を与えてみせたの。

相手は、とても丁寧に仕立て上げて、お皿に載せてくれていたの。

相手の意図が伝わるように、ね。

残念なことに、相手のしたことは、今のコーハ王国の近衛には、高度過ぎた。

ウィルソンの家とレオナルドの家が、近衛を私物化しながら、教育や指導を担当していた30年の間に、情報の申し送りがなくなったんじゃないかしら。

文書に残すことは出来ないから。

ウィルソンの家とレオナルドの家には、この手の情報はないと思う。

裏も表も知っている、ということは、知っているだけじゃダメなの。

このシステムは、表にも裏にも、どちらにも顔が利いて、システムを作る前から支配者の側にいないと、知ることが出来ない。

古くからあるシステムだから。

ビーイット公爵家は、王子が臣籍降下した家ということで、システムについての情報が受け継がれてきたのかしら?

とても中途半端に。

ボクのお家も、サブリーのお家も、ユージュアルのお家も、長い歴史がある家は、知っている。

そのシステムの有用性と危険性を。

このシステムは、最初に欲した情報以外の情報は持ち出せない。

その場で、何が起きて、どんな結果になった、とか、口外してはならないの。

欲した情報を持ち帰れるのは、参加者のうちの一握り。

背水の陣で臨む場所。



侯爵子息の件が発覚するまでに時間がかかったため、コーハ王国が警告を理解する前に、侯爵子息の捜査仲間が独断で動いて、何人も引っかかりに行った。

侯爵子息とそのお仲間が独断で動いたのは、他を出し抜きたかったか、堪え性がないのか、頭が残念なのか、理由は色々あると思うけれど、単独で動いたために、結果報告をしないから、周囲に察知されなかった。

侯爵子息達の独断による単独行動は、コーハ王国の近衛のレベルが下がったことと併せて、今回の件の発覚が遅れた原因になっているの。

サブリーの魔導具がなければ、発覚しなかった可能性があるもの。


ボク達は、侯爵子息の事情聴取を終えた。

結論。
侯爵子息は、話せる情報を持っていない。
それ故に生きている。

公爵家の嫡子が仲介した人間のところに、侯爵子息達が捜査に行った。

仲介した人物からたどり着いた誰かが、侯爵子息達の忠誠先を国から変えた。

仲介した人物は見失った。
もう、コーハ王国が探しても見つけることはできない。

仲介者からたどり着いた人物は、先方から目的を持って手配されている。

元に戻せと要求しても、聞き入れてくれる相手がいないの。

さて、どうしたものかしら。
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