フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

774.主人と補佐の2人。一見すると、冷静で穏やかなジーンと体格がよく若干強面なシドニーは、主人と番犬の下剋上カップルを想像させるらしい。

ラウルは、2つの公爵家との縁組みは、お家の方針で拒否しているけれど、ジーンは？

聞いてみたら、ジーンの微笑がとても怖くなったの。

どうしたのかしら？

何か思い出したのかしら？

「フィリスが心配しなくても、その2つとはない。」
とジーン。

アランは、ジーンの不機嫌さの理由を知っている。

アランに限らず、別働隊の幹部は、フィリスを除いて全員が理解している。

別働隊の幹部は、幹部の侯爵子息と補佐・副官の伯爵子息がセットで動く。

私的な時間は別だが、業務中は2人1組が基本。

常に一緒に行動していると、第三者には、相性ぴったり、最高の相棒！いいえ、最強の夫婦！に見えるらしい。


美青年のラウルと美人のエスターを並ぶと、エスターはラウルの嫁に見える。
ラウルとエスターは、互いに身を守る目的で、長年仲良く見せてきたので、涼しい顔をして、たまに期待に応えたりしている。



傲慢さも自信の表れ、と頼もしくうつるセドリックと献身的なシュクナ。

セドリックはともかく、シュクナの献身ぶりは、愛なの？恋い焦がれているがゆえなの？と受け止められている。

セドリックが、男性に人気なのは、その言動が、圧倒的強者に支配されたい欲を刺激するせい。
セドリックがもっと高みへ昇ることを望み、尽くしたくなる層がいるのだ。



アンドリューとクリストファーは、どの世代の女性にも好青年プレーをするので、一部から、疑いを持たれている。

女を分け隔てなく扱う、その心は、出会う女に興味がない、なぜなら、もう運命の相手が隣にいるから。

アンドリューとクリストファーの2人で、普通の世界は完結している。
もしくは、2人で愛せる誰かを求めている？と。

アンドリューとクリストファーは、噂を利用しながら、好きに立ち回っている。



リッチェルは、ジーンとは違い、正真正銘、穏やかな性格である。

穏やかなリッチェルが傷つくことがないように一生懸命見守り、危険からは精一杯守るワイズ。

リッチェルとワイズは、穏やかなお兄さんが、年下のワンコの愛を全部受け入れているように見える。

実際、リッチェルはお兄さん気質で面倒見が良く、ワイズも頑張り屋だが、2人はデキていない。



アランとバージニは、本音でぶつかり合う友達カップルに見えなくもないが、カップル臭はしないので、付き合っていない、と言われている。



ジーンとシドニーだが。
2人は、下剋上カップルと一部から見られている。
主人のジーン。
補佐・副官のシドニー。

一見、穏やかで、冷静なジーンは、業務中、指揮官の姿を見せることがほとんど。

若干強面で、ジーンより背が高く体格も優れているシドニーは、ジーンより、半歩下がって、斜め後ろに控えて眼光を光らせている。

その様は、ジーンに不届き者を近づけまいと威嚇する忠誠心溢れる護衛のよう。

ジーンが、シドニーに声をかけてシドニーが従う場面では、王と騎士に見える。

しかし、仕事から外れると、シドニーはジーンに並んで冗談を言ったりして、2人は和気あいあいとしている。

仕事中は強気なジーンと忠実なシドニーは、下剋上カップルではないか？と疑うむきがある。


ジーンもシドニーも、実害が出るまで、何言っているんだ？と相手にしなかった。

しかし、件の2つの公爵家は、噂の信憑性が高いと判断したのかどうなのか、令嬢ではなく、子息をジーンにぶつけてきた。

中央から離れていても、公爵家のすることは、注目を浴びる。

ジーンは、シドニーに抱かれているのでは？という噂が駆け巡ったのだ。

シドニーは、噂を聞いて、ブハッと笑っていたが、ジーンは不愉快極まりないと態度で示している。

ジーンは、フィリスや、サブリー、ユージュアルを可愛がることで、3人とどうこう言われていたときは、笑顔で済ませていたが、伯爵家の男に抱かれているなら、俺でもいいだろ？と言ってくる公爵子息のことは我慢ならない。

ジーンにどれだけ拒絶されていても、件の2つの公爵家の子息達は、めげずにアタックしてくる。

高嶺の花を口説き落とさんばかりに。

まとわりついてきて、鬱陶しいが、公爵家のご子息達だけに、誰も無碍に出来ない。

ジーンのご機嫌が悪くなるわけである。