フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

728.ボクの護衛対象であるフィリップ殿下に魅了を使わないで。無理やりボクから引き離されることをフィリップ殿下は受け付けないの。

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フィリップ殿下のご機嫌が急降下する前に、茶番をさっさと終わらせたいの、ボク。

ドレスの女に言ってやるの。

「ハンティア王国の第3王子の肩書きを持ちながら、ベリウンヘルツのシャリン王子として男装していた間、ボクに転移陣を投げつけて起動させるまで、声を出さなかったのは、魅了を使わないようにしていたからかしら?」

「キミは、声と魔力が混じると魅了になるようなの。」

「魅了を使うのやめてくださらない?」

「魅了でフィリップ殿下を操ろうとしないで。迷惑なの。フィリップ殿下が意欲を燃やしてごらんなさい。フィリップ殿下に好きにされるのは、キミじゃないの。ボクなの。」

周囲に困惑が広がっていくけれど、ボクの言葉に誤りはない。

ボクの言葉は、ドレスの女には理解し難い様子。

目だけで、何をわけの分からないことを言っているの、とボクを伝えてくる。

ボクだって、わけの分からない側でいたかったの。

フィリップ殿下を操ろうとか、本人の意思を無視して、恋人にしてやろうと考える人間は、今までもいたの。

コーハ王国という強国の第4王子。

見た目がよくて、仕事もできて、男女問わず、大人気。

嫁に行きたい、婿に取りたいというお誘いは尽きないの。

力づくのものもね。

全部未遂に終わったから、今もボクの後ろにいるわけだけど。

未遂に終わっても、魅了をかけられて、ボクから引き離されるところだったと知ったときのフィリップ殿下は、しつこいの。

ボクに対する執着がパワーアップするの。

魅了を使った側への敵意も跳ね上がるの。



敵意の方は、フィリップ殿下の仕事に反映されるの。

向こう10年の対等な契約を予定していたとするでしょ?

本契約は、向こう100年、先方の治外法権に代わっているの。

本契約で調印済ませて、涼しい顔で帰国しちゃうの。



ボクへの執着は、仕事でボクがいるときは、至るところでボクをエスコートしたり、抱っこしたり、強制仲良し時間を捻出してくるの。

「ボクとフィリップ殿下の体格差を見てごらんなさい。」

ボクの本業は、歌や踊り。

別働隊が同行しているということは、別働隊は、歌や踊りを披露して、式典を盛り上げるお仕事があるの。

「ボクの体力が尽きるまで、むさぼり食われたら、どうなるか予想できるでしょ?」

フィリップ殿下の全予定に連れ回されたら、ボクは、体力消耗しちゃうの。

「ボクの予定が全部、台無しになるの。」

ボク、別働隊の隊員で、かつ近衛の偉い人だから、現場仕事だけじゃないの。

会議とか書類とか、あるの。
他にもお仕事、てんこ盛り。

その全部が、滞っちゃうの。

恐ろしいでしょ?

ボクは恐ろしいの。

書類を溜め込むのは、嫌なの。

フィリップ殿下がご機嫌ナナメになる前に切り抜けなくては。

ボクの仕事の進捗のために。
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