フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

725.裏切りは、お家芸ですか？裏切ったり、裏切られたり。ごきげんよう。またお会いしましたね。そちらが本性ですか？

「第2王子が落とせるんなら、それでも構わなかったんだけどよ。」
と子息。
「無理なら、選手交替しかねえだろ。」

色々含めて、ボクとフィリップ殿下は、ここに連れてこられたのね。

「今から本命が来るのかしら？」

「よく分かってんな。男の取り合いはお手の物か？」

「キミ、これから来る本命に、第2王子サイドだと思われたくなかったんでしょ？」

裏切りは、ハンティア王国のお家芸ね。

第2王子もすっかり静かになったの。

「ボクの邪魔をしにくるのは、悪いことなの。」

ドレスを着た成人女性が現れた。

「女？」
と第2王子。
「男じゃないのか？」

第2王子が、男だと思っていたハンティア王国の本命。

「第2王子のお知り合いではなかったのかしら？」

「男だと聞いていた。どういうことだ？」
と第2王子は、ドレスの女性を睨んでいる。

その顔を知っているの、ボク。
だから、挨拶してあげるの。
「ごきげんよう。またお会いしましたね。」

「会ったことがある？どこでだ？」
と第2王子が反応した。

「目の前の彼女に聞いたら、なんと答えるかしら？」　

目の前の女性は、顔色1つ変えない。

「第2王子は、誰だと予想していたのか、お聞きしても？」

「第3王子だ。」
と第2王子。

外国のご令嬢を母に持ち、母国を行ったり来たりする生母とともに、成人後は、母国で暮らすと見込まれて、社交界に出てこない第3王子。

属性の情報は、あれど、本人を特定する情報があがってこない王子。

「彼女の顔は、第3王子と同じ？」
第2王子に確認してみる。

「第3王子には、近くで会ったことがあまりない。王子なら、男だろ。僕には、女に見える。会ったことのない女に。どこにいたのか。国のどこに隠していた？」
と第2王子。

女性が、男性のフリを通すのも限界がある。

第3王子があいまいな存在なのは、そのせい。

第2王女のユズキリ王女が、女を全面にアピールして完敗。

第2王子がフィリップ殿下を落とせたなら、それでよし。
途中で、第2王子を第3王子に変えても、年下の男がフィリップ殿下を落とすノウハウがある。

第3王子は、王子として仲を深め、戻れないところまできて王女と打ち明ける。

そんな計画かしら？

「ご挨拶を返さなくて当然の顔をしているけれど、淑女の仮面で初対面のフリをしても、ボクに通用しないの。」

はっきり伝えておかないと。

「ボクは、キミを覚えているもの。」

今さら、ご挨拶もできないものね。
最後まで聞きなさい。

「キミは、ボクを忘れてしまったのかしら。悲しいこと。」

キミに聞きたいことがたくさんあるの、ボク。
ボクのことを忘れたままでは、嫌なの。

「思い出せるようにしてあげるの。」

「今年は、ベリウンヘルツで国際会議があったの。」

「フィリップ殿下とボク達は、ゲストを頼まれてベリウンヘルツにいたの。」

「国際会議のお席に座っていたのは、どなただったかしら？」

国際会議の出席者や会議の内容は非公開だから、言及しない。

「ボクが、ベリウンヘルツの街中を移動していたときのこと。」

「ボクに、転移陣を投げつけて、転移陣を起動させた男装の成人女性がいたの。」

「今日は、男装ではないようだけど、本性はドレスなのかしら？」