フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

716.好きな人、好きにならない人。後から好きになる人もいれば、最初に好きになるか、ならないかが決まった後は、変わらない人もいるよね?

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第3夫人の様子からは、第2王子の異常があったかどうか、も分からない。

「第2王子はどこかしら?」

面会場所は、第2王子の謹慎場所のすぐ近くだから、すぐに来ると言っていた。

待っている間に休憩しようと、ユズキリ王女の周りがフィリップ殿下をお誘いしている。

ユズキリ王女が直接誘って、断られたので、周りが根気強く誘うことにしたのかしら。

「休憩か。」
フィリップ殿下は、ボクを見て微笑んだ。

ボク、なんだか、走りにいきたい気分になったの。

フィリップ殿下のお隣に立っていては、ボクの休憩にならない気がするの。

ボクは、一歩後ろに足を引く。
自然に見えるように。

フィリップ殿下が、何も言わないうちに、もう一歩後ろに。

「椅子。」
とフィリップ殿下。

「こちらで。」
とユズキリ王女の周りが、ユズキリ王女の隣の席を整えている。

ざわざわしている間に、もう少し、距離を。

「フィリス。遠すぎる。」
フィリップ殿下、ボクが2歩下がったぐらいで、遠いとは言わないの。

フィリップ殿下は、用意させた椅子に座った。

ボクを膝に乗せて。

ボクは背中をフィリップ殿下に預ける形で、前を向いて座っているの。

ボク、休憩できる気がしないの。

「フィリップ殿下。膝の上が重たくはありませんか?」
とユズキリ王女。

「上に座らせても楽しめる。」
とフィリップ殿下。

フィリップ殿下の腕は今、両方、ボクのお腹にある。

フィリップ殿下の手が、動かないように捕まえておくの。

ボクは、フィリップ殿下の手に両手を重ねる。

お腹に回っている間は、悪さできないはず。

あ、フィリップ殿下の手が、お腹から外れたの。

服の中に片手が入ってきているの。

今から、第2王子が来るのに、ボクが疲れたら、ダメなの。

フィリップ殿下の手を服から引き抜こうとしているけれど、ボクより腕が太くて、力がある。

ボクは両手で、服の中をうぞうぞと動くフィリップ殿下の手を捕まえている。

あ、今、フィリップ殿下が、自由な片手をボクの股間に滑らせてきたの。

人前で、撫でたり、揉んだりしちゃダメなの。

出ちゃったら、どうするの。

股間の方を守らなくては。

服の中の腕から、股間を撫でようとしているフィリップ殿下の手を捕まえる。

ふう、事前に阻止に成功したの。

あ、服の中を撫で回し始めた。

フィリップ殿下。
腕が自由になったからって、ボクを好きにしていいわけじゃないの。

ボクがフィリップ殿下の手と戦っている間も、背中側で会話が続いている。

「フィリスのどこを気に入られたのですか?」
とユズキリ王女。

「フィリスを形作る全て。愛らしい華奢な見た目も、どんなときも誇りを失わない輝きも。一瞬で、私をとらえた。離すことはできない。」
とフィリップ殿下。


フィリップ殿下。
ボク、フィリップ殿下のことは王子として認めているの。

でも、一緒に生きる相手としては、ごめんなさいしたいの。


ボク、セドリックとの楽しむセックスも、アンドリューとの思いやりのあるセックスも好き。

セドリックとアンドリューは、セックスありきで出会ったけれど、セックスしなくても、好きになったと思うの。

2人とは、ずっといい関係でいたいもの。

2人がいなくなったり、ボクじゃない誰かを優先したら、ボクは嫌なの。

ボクのものだって、宣言して、誰にも譲らない。

ボクは、ボクだけを見てほしいの。

独占欲かしら。

ボク、わがままだもの。

好きなものは手放さない。


ねえ、フィリップ殿下。

フィリップ殿下に寄り添いたいと言ってくださる方と、フィリップ殿下が想いあえたら、フィリップ殿下は、今より、ずっと楽に生きていけたと思うの。

王位継承権も失わなかったの。

好きな方と家庭を持てたはず。

フィリップ殿下の気持ちに応えないボクを欲しい気持ちのままでいるのは、苦しくないかしら?
と考えてしまうこともある。
ボクが言っていいことじゃないから、言わないけれど。

フィリップ殿下は、ボクや周りに、恋が成就しない苦しみを見せない、悟らせない。

実らない恋の苦しみを誰にも明かさないなんて、生半可な意識でできることじゃない。

フィリップ殿下は、ボクへの想いが成就しないことについて、誰のせいにもしない。

だから、ボクは、フィリップ殿下のボクへの気持ちに、嘘偽りはない、と考えている。

こうして戯れに触っているときも、幸せそうな気配が伝わってくるもの。

うん。複雑なの。
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