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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!
666.恨み骨髄。末代まで祟ってやるとは、よく言ったもの。化けて出てくるのか、化けないで出てくるのか。
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側近達は、ミハ王子を部屋に運んだ。
魔力枯渇なら、魔力の補給だが、琥珀色の光を出した珠のついている棒の法具は、不足する魔力を補うために、魔力以外の何かをミハ王子から搾り取った。
側近達は、そんな恐ろしい法具があるなんて知らなかった。
とりあえず、部屋に運び込んで、魔力回復の飲み物を飲ませようと試みているが、ミハ王子の意識は一向に戻らない。
この砦への往復は、法具を貸し出した男が請け負っている。
『何から何まで、世話になる、助かる。』
と喜んでいたミハ王子は、城まで保つだろうか。
法具を貸し出した男は、王子の容態など気にしていなかった。
すぐに帰る支度をして、城から迎えを呼ばなくては。
あの男に頼るのは、危険だ。
手遅れかもしれないが。
側近達が、役割分担を決めていると、ガチャガチャと出入り口が騒がしくなった。
男達が、法具を持って、砦に戻ってきた。
「撤収を急ぐよう一応話してくる。」
側近のうち、1人が、法具を持っている男達に近づいていく。
男達は、始めるか、と気楽に話しながら、ミハ王子の魔力を吸い上げた法具を持って、法句を唱え始めた。
「何をしている!ミハ様の魔力を無駄遣いする気か!」
側近が止めようと叫ぶが、男の口から出る法句は水が流れるようにスムーズ。
ミハ王子の半分にも満たない時間で、男は法句を唱え終わる。
「エイ。」
という男の声と共に、琥珀色の光が砦を染めていく。
ドーンと地響きがした後、体の中を何かがすり抜けた気がして、側近は、きょろきょろと周りを見てみた。
何もない、とほっとした途端。
壁から、天井から、床から、血まみれの手が伸びてくる。
「ひぃ。」
側近は、急いで、ミハ王子の元に戻った。
ミハ王子を寝かせていた部屋から、仲間の悲鳴があがる。
側近が、部屋に入ると。
横たわるミハ王子の頭の先から足の先まで、針金が何百本も突き刺さっていた。血だらけになって。
「ミハ様!」
側近が駆け寄ろうとすると、仲間が止めた。
「もうダメだ。」
ミハ王子の手足は、もう痙攣していなかった。
「そんな。」
崩れ落ちそうな側近を仲間が支えた。
仲間達は、状況を語った。
「ドーンと地面が揺れて、あの数の針金が一気に床から飛び出した。避ける暇なんてなかった。」
「天井や壁や床から無数の手が出てきた。血まみれの手が。」
側近は気を取り直した。
「こちらも同じだ。あいつらが、ミハ様の魔力のこもった法具を砦の中で使ったら、そこら中に血まみれの手が生えてきた。」
「どっちに反応したのかな?法具か、ミハ様の魔力か。」
「分からない。」
「落ち着いた今のうちに、迎えを呼んで、出来るだけ砦から離れよう。」
「ミハ様は?」
「この状態のミハ様をお運びするのは、僕達だけでは無理だ。」
「そうだな。荷物をまとめて、出るぞ。」
側近と仲間達は、主君の遺体に1度頭を下げると部屋を出ていく。
ミハ様の魔力に反応したのなら、ミハ様の魔力を解き放った男達はどうなったのだろうか。
側近と仲間達は、側近が男達を見た部屋の前で立ち止まった。
男達の目と耳と鼻と口には隙間なく針金が突き刺さっている。
男達は、それでも死んでいなかった。
1人の男は、手探りで出入り口に向かおうとしている。
別の男は、法具を使おうとしているが、口が塞がっていて法句を唱えられていない。
また別の男は、針金を抜こうとして、悪戦苦闘している。
ミハ王子の魔力の入った法具を持って法句を唱えた男は、天井から逆さ吊りになっていた。
天井から床に突き刺さっている何百本もの針金に体の至るところを貫かれて。
それでも、死んでいないのだ。血を流しながら、ピクピクと動いている。
「「「うわああああ。」」」
側近と仲間達は、砦から荷物を持たずに駆け出した。
視覚と嗅覚に、焼き付いて離れない。
「ここは、人のいるところじゃない。離れないと。」
3人は、ふらつきながら、砦から遠ざかっていく。
魔力枯渇なら、魔力の補給だが、琥珀色の光を出した珠のついている棒の法具は、不足する魔力を補うために、魔力以外の何かをミハ王子から搾り取った。
側近達は、そんな恐ろしい法具があるなんて知らなかった。
とりあえず、部屋に運び込んで、魔力回復の飲み物を飲ませようと試みているが、ミハ王子の意識は一向に戻らない。
この砦への往復は、法具を貸し出した男が請け負っている。
『何から何まで、世話になる、助かる。』
と喜んでいたミハ王子は、城まで保つだろうか。
法具を貸し出した男は、王子の容態など気にしていなかった。
すぐに帰る支度をして、城から迎えを呼ばなくては。
あの男に頼るのは、危険だ。
手遅れかもしれないが。
側近達が、役割分担を決めていると、ガチャガチャと出入り口が騒がしくなった。
男達が、法具を持って、砦に戻ってきた。
「撤収を急ぐよう一応話してくる。」
側近のうち、1人が、法具を持っている男達に近づいていく。
男達は、始めるか、と気楽に話しながら、ミハ王子の魔力を吸い上げた法具を持って、法句を唱え始めた。
「何をしている!ミハ様の魔力を無駄遣いする気か!」
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ミハ王子の半分にも満たない時間で、男は法句を唱え終わる。
「エイ。」
という男の声と共に、琥珀色の光が砦を染めていく。
ドーンと地響きがした後、体の中を何かがすり抜けた気がして、側近は、きょろきょろと周りを見てみた。
何もない、とほっとした途端。
壁から、天井から、床から、血まみれの手が伸びてくる。
「ひぃ。」
側近は、急いで、ミハ王子の元に戻った。
ミハ王子を寝かせていた部屋から、仲間の悲鳴があがる。
側近が、部屋に入ると。
横たわるミハ王子の頭の先から足の先まで、針金が何百本も突き刺さっていた。血だらけになって。
「ミハ様!」
側近が駆け寄ろうとすると、仲間が止めた。
「もうダメだ。」
ミハ王子の手足は、もう痙攣していなかった。
「そんな。」
崩れ落ちそうな側近を仲間が支えた。
仲間達は、状況を語った。
「ドーンと地面が揺れて、あの数の針金が一気に床から飛び出した。避ける暇なんてなかった。」
「天井や壁や床から無数の手が出てきた。血まみれの手が。」
側近は気を取り直した。
「こちらも同じだ。あいつらが、ミハ様の魔力のこもった法具を砦の中で使ったら、そこら中に血まみれの手が生えてきた。」
「どっちに反応したのかな?法具か、ミハ様の魔力か。」
「分からない。」
「落ち着いた今のうちに、迎えを呼んで、出来るだけ砦から離れよう。」
「ミハ様は?」
「この状態のミハ様をお運びするのは、僕達だけでは無理だ。」
「そうだな。荷物をまとめて、出るぞ。」
側近と仲間達は、主君の遺体に1度頭を下げると部屋を出ていく。
ミハ様の魔力に反応したのなら、ミハ様の魔力を解き放った男達はどうなったのだろうか。
側近と仲間達は、側近が男達を見た部屋の前で立ち止まった。
男達の目と耳と鼻と口には隙間なく針金が突き刺さっている。
男達は、それでも死んでいなかった。
1人の男は、手探りで出入り口に向かおうとしている。
別の男は、法具を使おうとしているが、口が塞がっていて法句を唱えられていない。
また別の男は、針金を抜こうとして、悪戦苦闘している。
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天井から床に突き刺さっている何百本もの針金に体の至るところを貫かれて。
それでも、死んでいないのだ。血を流しながら、ピクピクと動いている。
「「「うわああああ。」」」
側近と仲間達は、砦から荷物を持たずに駆け出した。
視覚と嗅覚に、焼き付いて離れない。
「ここは、人のいるところじゃない。離れないと。」
3人は、ふらつきながら、砦から遠ざかっていく。
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