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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

664.誰も頼れないと思ったとき。助けてもらった過去がある相手から、無理難題を要求されたら、拒絶出来るかな?

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「私が出来ないのだから、代わりにそなたらがしろ。」
ミハ王子は、いつものように命令する。
ミハ王子が出来ないなら、それはミハ王子のすることではなかった、ということ。

出来る者が率先して代わるべき。

「我々は、法具の付き添いに来たのです。ミハ様の尻ぬぐいは、ミハ様とお友達でどうぞ。」
男は、どこまでも素気ない。
「さあ、もう1度。」

「無理だ。魔力が無くなる。」
とミハ王子は拒む。

「無くなる、というからには、まだ残っているのでしょう?」
と男。

「私の魔力を枯渇させる気か!」

「ミハ様の魔力が枯渇するかどうかは、ミハ様次第でしょう。」
と男は淡々と話す。
「法具を使って、除霊に失敗したら、もう法具を貸し出すことはありません。危険ですから。」

「ミハ様がお止めになるなら、引き上げましょう。今後、除霊はお独りでなさるんですかね?」
と男は、ミハ王子を嘲笑う。

「私には。」
側近がいると言いかけたミハ王子を見て、男は、ぷっと吹き出した。

「側近兼お友達は、先ほど、全員いなくなりましたよ?お忘れですか?」

「ミハ様お独りで、法具も持たずに、何ができるのか分かりませんが、我々は、良い知らせが届く日を指折り数えているとしましょうか。」

「さあ、法具をお返しください。ミハ様には、不要でしょう?」

「いや、やってやる。」
ミハ王子は、法具を握りしめる。
もう引き返すことが出来ないのだと思った。

なんとか、魔力を絞り出して、浄霊を成功させなくては、城に帰ってからの居場所がない。

父である国王陛下に嘆かれ、失望されるだけではない。
普段、弟に無関心で関わりのない王太子の兄から、叱責される。

父は、ミハ王子を叱らない。嘆いたり、愚痴をこぼすだけ。

兄は、公式行事以外にミハ王子と関わりを持たないくせに、ミハ王子を見るとダメ出ししかしない。

母は、ミハ王子が優等生だと言われなくなってから、父と共に嘆くばかり。

普通の子どもだけでなく、優等生な子どもが産み、社交界で鼻高々だったのが、ミハ王子の評価の急落と共に、陰で失笑されるようになった母。

母は、ミハ王子を責めたり、ミハ王子の在り方に責任を感じたりはしない。

ただ、現状をミハ王子に嘆く。

父も母も、ミハ王子が優等生でなくなったからといって、厳しくなったり、無関心になったりはしなかった。
褒めて、自慢してくれていた時間が全て、嘆きに変わっただけだ。

見捨てられないのは、有り難いのだろうか?

ミハ王子の周りで、ミハ王子に対して、態度が変わらないのは、唯一人。
ミハ王子が生まれてこのかた、無関心を貫いている王太子の兄だけ。

兄とミハ王子は父も母も同じだが、兄はミハ王子に関心を示したことがない。

父上と母上に助けを求めて、何か変わるだろか?

ミハ王子の側から、人がいなくなって、ミハ王子が落ち込んでいるとき、父も母も同じ様に落ち込んで、ミハ王子に嘆きを聞かせていた。

父上と母上は、頼れない。

兄に話しても、叱責されるだけ。


ミハ王子には、法具を貸し出した男の言葉を無視することなど出来ない。

説明の足りない男だが、この男が除霊のための手配を全て請け負わなければ、ミハ王子は、除霊という楽しみを知らなかった。

法具を貸し出した男がいたから、ずっと鬱屈せずに済んだ。

男は、側近みたいに四方山話をしないが、ミハ王子の願いを叶えてきたではないか。

ミハ王子は決心した。

魔力を全部搾り取られないように抵抗すればよい。

巻き物の法句を読み上げ、最後に『エイ。』と言う。

全身の血が逆流したのではないか、というほどの痛みと不調がミハ王子の体を襲った。

魔力が底を尽きそうになるので、搾り取られないように抵抗しているが、痛みで気を抜くと魔力を引き抜かれる。

法具を持つ手はカタカタと震えが止まらず、足も痙攣している。
視界は、紗を下ろしたかのように暗くなってきた。

それでも、魔力の吸い上げは止まらない。

まだか?

まだ、魔力がいるのか?

『エイ』と言ってから、どのくらい経った?

もう法具を離してもいいのでは?

法具を離そうと、法具を持つ手を開いたが、魔力の吸い上げは止まらない。

法具から手を離したミハ王子は、支えを失い倒れ込む。

法具は自立している。

法具から離れたのに、魔力を吸い上げ続けるのか?

ミハ王子の意識は、そこで混濁状態になった。
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