フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

649.古い時代の鎧をつけて、大きな武器を手に戦う戦士の御霊。古の魔法も飛び交うリアル活劇。荒野に蘇るかつての戦。ここは、古戦場。

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転移陣が発動したら、転移先の陣に出るものなの。

ボク、サブリー、ユージュアルは、転移先の陣に出なかったらしい。

「なんでかな?」
とサブリー。

「ボクの神気とベリウンヘルツの土地の神の威光が反応して、ハンティア王国に行きたくないという願いを叶えた可能性はあるかしら?」

「それくらいしか、思いつかないなあ。」
とユージュアル。

ボク達3人は、どこの国か分からないけれど、だだっ広い荒野にいる。

ボク達の周りは、今の時代から300年から500年くらい前の鎧兜を身に着けた戦士が荒野中で敵味方に分かれて戦っている。

血も出ない、匂いもしない。

戦場の気配。武器や魔法がぶつかる音。重さが感じられない透け感のある見た目。

ここは古戦場。

戦士は、全て古戦場に住む御霊。

3人は、かつての戦の再現を見ている。

戦士の装備から300年から500年くらい前と推測した。

でも、場所のヒントになるような国旗や軍旗はないので、分からない。

ボク達は、荒野一帯の戦の再現の中にいる。

「この後、どうする?」
とユージュアル。

「砦があるから、いってみよう。罠かもしれないけど。」
とサブリー。
ボク達3人は、だだっ広い荒野にどどーんと目立つ唯一の建造物を見ている。
「砦には、場所のヒントがあると思うの。」
とボク。

「行くか、砦。罠なら、壊して出よう。」
とユージュアル。

ボク達は、なんとなく、戦士の御霊を避けながら砦に向かって歩く。

戦士の御霊には、ボク達は認識されていない。

御霊同士の戦いの中に入るのは、何か影響があるかもしれない。

それに、気持ちの問題で、殺し合いの真っ只中にいるのは、ご遠慮したいの。
戦場の追体験は、見ているだけで十分怖い。

ボク達は、御霊を刺激しないように静かに砦に向かって歩く。


砦から、人が何人か、出てきた?

「生きている人だよな?」
とユージュアル。

「砦が、古戦場の縮図になっていたら、古戦場より凄惨だろ?見たくない。」
とサブリー。

「砦に侵入されて、砦が落ちる戦いなんて、見ていたくない。落ち込みそう。」
とユージュアル。

サブリーとユージュアルの話を聞きながら、ボクは砦から出てきた人を見て、気づいた。
「あの方々、生きた人間。」

「生きてる?」
とユージュアル。

「場所のヒントだ。」
とサブリー。

「ヒントにもなるけど。俺達、密入国者だから、見つかったら面倒だな。」
とユージュアル。
「迂回しよう。」

「俺達3人。向こうは10人以上いる。砦から出てきたなら、砦は生きた人間が10人以上が使える仕様。安心して、お邪魔しよう。」
とサブリー。

「ボク達3人は、見つからないように、砦に入るの。」

「「おー!」」

見つからないように、とはいうものの、荒野。
向こうに気づかれないようにしたくても、遮蔽物がない。
したがって、向こうの視界に入らないように脇にそれながら歩く。

御霊の戦いの合間に、生者の声が届く。

「生きている方々が、何か騒いでいらっしゃる。」

「うん。何かの儀式かな?」
とサブリー。

バケツの水を撒きながら歩き回る方々。
その方々の真ん中で2人。1人は、もう1人の隣に立って、紙をみせている。
もう1人は、紙を読み上げるみたい。

「気の所為じゃないなら、悪霊祓いとか、除霊っぽくないか?」
とユージュアルが指差す方向には。

水が入っているであろう樽が複数、鎮座ましますっている。

樽の近くには、宝具か、法具が幾つか、木枠ごと並んでいる。

「この数の御霊を除霊するのは、素人には無理だよな?」
とサブリー。

「本職が集団でやるレベルだよな?」
とユージュアル。

「俺には、道具を揃えただけの素人に見えるんだけど?」
とサブリー。

「奇遇だな。俺にも、肝試しにはっちゃけて、除霊に興味がわいたパーティーピーポーに見える。」
とユージュアル。

「素人が除霊の真似事しても、効果はないだろうけど、道具が立派過ぎるから、何か起きたら、嫌だなあ。」
とサブリー。

ボクの背中に、ヒヤッとした冷気が。
「今、寒いの、来なかった?」
と2人に聞く。

「「ヒヤッときた。」」

「御霊が、反発しているか、怒った気がするの。」

「さっきまで、生きた人間に興味がなかったはずだよな?」
とユージュアル。

「今、御霊の戦士の意識がこっちに集中しているぞ。」
とサブリー。

戦っていたはずの御霊の顔が、ぐるっとボク達を見た。

窪んだ眼窩に、目玉はない。

傷だらけの皮膚。
腐敗が進んでえぐれた頬。

唇の肉がなくなり、むき出しになった歯。

御霊は、ボク達を認識すると、戦いを止めて、ボク達に向かってきた。

怖すぎるの。

「全速力で、砦に入って、除霊している人間の後ろに隠れるの。」
ボク達は、音を立てるとか気にせず、全力疾走した。

追いつかれたら、どうなるか、分からないもの。

逃げるが勝ち。

さっきまで、音を立てて戦っていた御霊の戦士。
なぜ、ボク達を追いかけるときは、無音なの?

音がないのに、視界にチラチラするのが、怖いの。

砦の入口はどこ?
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