フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

643.パリステ王子は、親しい人に騙されたみたい。ハンティア王国の王家と宰相の部下に勧められたの?自分の国の大人じゃないの?

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「一通り話し終わったけれど、連れてこなかったのね?」
とボクは、ピイロ王子に話しかけた。
「部下を売るなどできるか。」
とピイロ王子。
「お待ち下さい。」
とピイロ王子の付き添いが慌てている。

「フィリップ殿下、国同士になったの。お願い。」
とフィリップ殿下にお願いする。

続きは、フィリップ殿下がしてくれる。

パリステ王子をもう少し揺さぶってみる。

「パリステ王子。パリステ王子には、この国際会議以外にデビューの場があったのではないかしら?」

「ああ。候補はいくつか。」
とパリステ王子。

「この国際会議をデビューにおすすめした方は、パリステ王子の夢を知らない方?」

「いや、知っていた。」
とパリステ王子。

「仲良くしている方かしら?」

「そうだな。」
とパリステ王子。

「世界情勢に疎い、世捨て人みたいな方?」

「いや、なぜだ?」
とパリステ王子。

「暗黙の了解を知らないということは、そういう方なの。」

「国の高官とか、地位のある人間は、決して口に出さないけれど、知っているの。」

「毎年何人もデビューしていながら、大成する方が数世代で数える程しかいない国際会議。」

「パリステ王子におすすめした方は、国の中枢にいる人間が知らなくてはいけない情報を知らないか、知っていておすすめしているかだとボクは思うの。」

「その方を信用するのも重用するのも考えものじゃないかしら?」

「国の中枢、とは、どこの国でも、か?」
とパリステ王子。

「近衛のボクも知っているのよ?コーハ王国は出席者がいない上に、ボクは王子でもない。

政治を専門にしていない貴族子弟も知っている。

もしも、王侯貴族と接点のない平民が聞きかじっておすすめしたなら、情報の確認をした方が良かったと思うの。」

「いや。貴族だ。」
とパリステ王子。

「パリステ王子が知らないなら、パリステ王子におすすめした方も知らなくて、他の方から吹き込まれたことを鵜呑みした可能性もあるでしょうけど。」

「パリステ王子がデビューを果たした国際会議は、国際社会での活躍を目指している王子なら、デビュー先からは、真っ先に除外するもの。」

「パリステ王子のデビュー前の人生設計は、パリステ王子の国の信用できる大人に相談し直すといいと思うの。夢を夢のままで終わらせたくないのなら。」

「国の大人?」
とパリステ王子。

「パリステ王子を自国の王子として大事にしているなら、夢を潰したりしないのではないかしら?」

「自国の王子?」
と繰り返すパリステ王子の声は、震えだした。

思い当たる何かがあったのかしら?

「おすすめしたのは、どちらの方か聞いてもよいかしら?」

「ハンティア王国の貴族だ。」
とパリステ王子。

「ハンティア王国の王子とは、年が近いから、交流があった。」

「漏れ聞こえるところによれば、その王子と側近達、その他が、1人の平民の女に溺れて、婚約破棄を連発。」

「婚約破棄した男は、全員、謹慎処分になったらしい。」

「そろそろ復帰の目途がたちそうだから、また、親しく付き合いたい、と。ハンティア王家から使者が来た。俺宛に。」

「色々な相談に乗ってもらったと思ったが、あいつら俺の人生を潰しにきやがったのか。」

「ハンティア王国の偉い方?」
とボクは確認する。

「宰相の部下とか、ハンティア王家の関係者だ。」

「そういう方なら、知っていたと思うの。」
ついでに聞いてみる。
「ハンティア王国へのお礼は、何かしたの?」

パリステ王子は考え込んでいる。

「会議の出席者や会議の内容をハンティア王国に教えたり、既にしたかしら?」

パリステ王子は返事しない。

「既に漏らしてしまったのなら、今すぐに母国に相談しなさい。」

「ハンティア王国は、パリステ王子を助けなくても困らないの。」

パリステ王子は、葛藤か怒りか分からないけれど、もうボクを見なかった。

キーリ王子の付き添いが青ざめている。
苦労が台無しだものね。

「ボク達は、引き上げる。」

ハンティア王国という黒幕候補を見つけた。

ハンティア王国は、コーハ王国との関わりは、ほとんどない国なの。

事態は、今日か明日にでも、動いてもおかしくなくなった。

急いで、情報共有と打ち合わせしなくちゃ。

今日中に、港を目指した方がいい。
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