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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

621.サブリーの学生時代。飛び級し過ぎで研究室に配属。フィールドワークで紛争地帯へ。傭兵団を用いた戦い方と現実。現状把握と募る危機感。

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ウィルソンに聞かれて、サブリーとユージュアルは、不思議そうにした。

ウィルソンは、今こそ海に面した公爵領の次期領主だが、兄が失脚するまでは、フィリップ殿下の側近として、王都で過ごしてきた。後継ぎに決まってからも側近は継続。
王都と領地を行ったりきたりして、側近をしながら、次期領主の修行をしている。

コーハ王国の海軍と
ウィルソンの家独自の海軍では、
ウィルソンの家の海軍の方が、戦闘慣れしている。

ウィルソンの家は、コーハ王国に海洋上の貢献を認められて、公爵位を賜わった家だ。

ウィルソンが公爵家の海軍を派遣要請しても、ウィルソンの親、公爵家当主がうんと言わねば、派遣してもらえない。

フィリスの家のガラン家ように、フィリスが泣いているから、と軍隊派遣しようとする家は少数派である。

サブリーとユージュアルは、フィリスの感覚に近い。
助けに来てと呼べば、軍隊がほいっと来ると考えているが、他所の国に派遣するには手順を踏まねばならない。

「サブリーとユージュアルが、公爵家の海軍を動かす方がいいと感じたわけ、でもいい。」
とウィルソン。



サブリーが話し始めた。

「俺は、飛び級制度使って、早めに卒業単位とったんだよ。いつ卒業でも大丈夫にしときたかったから。そうしたら、研究室に配属されたんだよね。」

「フィールドワーク重視の研究室でさ。」

「紛争地帯にも行ったんだよ。」

「国の戦力じゃなく、傭兵団同士に戦わせている地域はさ、長引くんだよ。」

「一勝一敗を繰り返して、決着がつかない。」

「傭兵団は、傭兵団同士で、本気の殺し合いはしなかった。」

研究室の教授が、その紛争地帯に研究生を突っ込んだのは、紛争地帯の現実を体験させるため。

「1つは、収入のため。決着をつけずに、契約期間を引き延ばせるだけ引き延ばす。」

「もう1つは、傭兵団の戦力を落とさないため。傭兵団同士、互いに命を落としたり、戦闘不能者を出す戦闘はしなかった。」

「この戦場での契約が切れたら、次の仕事がいる。戦力が低下した傭兵団では、契約に繋がらない。」

「傭兵団にとっては、数は戦力そのもの。」

「少数精鋭を売りにしているところとは、棲み分ける。」

「少数精鋭のところは、時間をかけて戦をしない。1人にかかる配分が大きくなり、交替制が取りづらい。長引くと不利。圧倒的戦力で短期決戦に持ち込む。」

「少数精鋭が、今の私達か。」
とウィルソンは呟く。

「傭兵団に国の戦力を混ぜている場合。国の戦力がどれだけ、傭兵団の命運を握っているか、で最終局面での傭兵団の働きが決まる。」

「傭兵団は、命大事が原則。稼ぐために必要なのは、理念や理想じゃない。」

「今の状況は、うちより、あちらに利がある。それをひっくり返すために、圧倒的な戦力を投入する必要がある。」

「コーハ王国が狙われている?」
とウィルソン。

「コーハ王国が狙われているのかはわからない。俺達の一行は、狙われているな。」
サブリーの話を聞いて、考え込む一行。

「今のままだと、数の力で押し切られかねない。」
とユージュアルが付け足し、話を引き継いだ。

「この建物は、平時は快適に過ごせるが、襲撃には耐えられない。」

「海軍の派遣にまでの時間を考えて、直ちに、要請を出してほしい。」

「主力が傭兵団であるうちに決着をつけて、傭兵団に退かせる形で、和睦交渉に入りたい。」

「傭兵団の後に、国の戦力を送り込まれたら、うちはかなり劣勢になる。相手にする国の数が多すぎる。」

「戦場になるベリウンヘルツは、敵だ。立地、建物、人の手配。うちの防衛力と戦力を低減させて、向こうを増強させている。」

「対策はうてる。だが、準備期間が足りない。情報も不足しているとなれば、後手に回ることの方が多くなる。」

「今回、向こうの目的が不明なのが、1番厄介。」
とサブリー。
「狙いが分からないから、向こうの引き際の見極めが困難なんだよ。」

「この戦いは、仕掛けてきた向こうの引き際が分からないと、終わりが見えない。」
とユージュアル。
「こちらから仕掛けたら、向こうに口実を与える。今回に限り、先制攻撃は得策ではない。」

「徹底抗戦するにしても、終わりが見えない戦いは苦しい。精神的にも、肉体的にも、物資の面でも。」

重苦しい沈黙が訪れる。

状況は、コーハ王国の外交団にとって、極めて困難だ。

これから、どう打開するか?
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