フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

584.前世の記憶を思い出した侯爵子息、コーハ王国で生きていくための光明を見出す。

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「侯爵子息として。」
と侯爵子息は、繰り返している。

難しかったのかしら。
「キミがコーハ王国まで辿り着いたのも、侯爵子息という身分に助けられたから。」

侯爵子息という身分を繰り返し口にしているのは、侯爵子息という身分に効果があったから使っている様子が見受けられる。
盲目的に身分を振りかざすんじゃなくて、道具として、ね。

「コーハ王国に限らず、王政の外国に、侯爵子息としての受け入れを求めたなら、国の秘密や一大事などの情報を証拠を集めて持ち出してくるぐらいは、最低限必要だったの。」

「なんの前触れもなく入国しようと騒いだけれど、事前の打診や打ち合わせは、必要よ?」

ボクの言葉に、目から鱗が落ちたと、侯爵子息は冷静になった。

「オレが、相手にされなかったのは、オレがあんたらの利になるものを差し出さなかったから、か?」
と侯爵子息。

「そう。国や王家を揺るがす有益な話はあるの?なければ、迎えを要請する。祖国に帰りなさい。」

「ある。」
と侯爵子息。
「オレは、オレと年の近い王子が、狙われているせいで、殺されるんだ。」

侯爵子息は、リワ侯爵家にいた日々を語った。

話し方も、相手の聞きたいことを話せる能力も、ぼんやりした子どもではない。

王子を狙う勢力は、正体の分からない者ばかり。
その中で、ハンティア王国の勢力は、侯爵子息が1番安全に交渉が出来て、侯爵子息が生きて逃げ出しても、気にしないので、追手をかけられない確信し、迷わず実行した洞察力と行動力。

話を聞き終わったので、確認する。
「キミは、生まれてから、ずっと、今みたいに考えたり話したり行動していたのかしら?」

侯爵子息は、黙ってボクを見ている。

その仕草は、やさぐれた子どもではない。
そう見えるように、演じていたのだと思う。

「そういう聞き方をしてきたあんたには、分かっていそうだな。」

「本人が話してくれないと、憶測でしかないの。」

「オレは、王子の身代わりされたり、囮にされて、怪我したり、病気になることが多かった。オレが嫌がっても、無理やり連れて行かれた。ある日、大怪我して寝込んでいたら、前世の記憶を思い出した。前世の大人の記憶だ。今、生きてコーハ王国にいるのは、前世の記憶と大人の意識があったから。」

「前世は、この世界?それとも異世界?身分は?」
話を聞いたボクが尋ねると、侯爵子息は驚いた。

「驚かないのか?あんたもか?」

「ボクは違うの。転生は、よくある話ではなくても、ない話ではないの。」

「そうか。じゃあ、オレの価値はどうなる?」

「2段階で評価されるの。」

「第1段階。
キミの国の王子が、長いこと狙われていて、犯人が分からない件について。王子をはじめとする王家や国の動き、キミの気づいたことをもっと聞いて、調査したら、国に提出。」

「2段階。キミの異世界の知識がコーハ王国に貢献できる期間や規模、内容について検討して、コーハ王国に役に立つと分かれば、引き渡しはなし。」

「挑戦してみる?」
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