フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

580.成人したての王族の参加が多い国際会議。フィリップ殿下がその会議に出る?殿下は、中堅というか、やり手では?その国際会議、裏があるの?

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ボクは、只今、お仕事の打ち合わせ中。

フィリップ殿下に、とある国際会議への出席打診があって、担当部署が問い合わせたら、評判の近衛別働隊を見たいから、お披露目してくれないか、という依頼。

別働隊は、お披露目に行かないし、フィリップ殿下も行かないと返事したところ、打診してきた国に粘られている。

最初の窓口は、担当者の文官だったのに、いつの間にか、先方は王太子が出てきて、コーハ王国の王太子にお願いし始めたそうなの。

王太子がお願いしてきた国は、開催国ではないのに、どうして、熱心に誘うのか。

理由は、ゴニョゴニョとはっきりしない。

別働隊に会いたい人がいるとか言われても、国益にならないなら、ボク達は出向かない。

ボク達別働隊に話が来る前に何度も断っているということは、余程旨みがないか、デメリットしかないということ。

というのも、フィリップ殿下が出席を打診されている国際会議は、フィリップ殿下が出席するような代物じゃないもの。


成人したての王族のデビューを飾る公式行事は、簡単すぎず難しすぎず、知名度の高いものが理想。

国内でのデビューが済んだら、次はいよいよ、国際社会に踏み出そう、となる。

成人したてだけど、成人と変わらず付き合えるようなタイプは、若い内に、荒波に飛び込んで、いい経験を積んでいくといいの。

では、ぬるま湯に浸らせてほしいタイプはどうするか?

本人の性格だったり、出る杭は打たれる環境のせいだったり。

理由は人の数だけあるけれども。

派手に国際デビューを飾るのではなく、デビューしたという形だけでも整えたかったり、目立たず無難に済ませたかったりする方々向けに、ぴったりの国際会議が毎年開催されている。

会議のテーマは、毎年、あってないようなものなので、参加することに意義がある。

発言できたら、尚良し、みたいな雰囲気。

その会議に来て、とフィリップ殿下は言われている。
招く相手を間違ってはいない、と先方はいうので、裏があるとよんで、ボク達は打ち合わせをしているの。

フィリップ殿下は、既に中堅どころか、やり手に分類される。最初から、大人に混じって、精力的に公務していたから。

新人王族の励ましに行くには、タイプが真逆。

自信喪失させそうよ?

そういう経緯を踏まえた上で、招かれた国際会議のウラ、もしくは招いてきた裏事情を探りつつ、方針を決めようとしているところ。

ボク、その国際会議に行きたくないの。

ちょっと前のこと。
フィリップ殿下に国際会議への出席を打診してきた国の侯爵子息がコーハ王国に入国しようとして、国境で止められたら、突然亡命申請してきたの。

事前連絡も何もなく。

貴族子弟なのに、根回しもなく、伝手のないコーハ王国におしかけてくる行動力。

しかも、うちと何の縁もないのにガラン子爵家に身元引き受け先を希望すると言ってきた。

うちが「拒否。」したら、気に入らなくて、ごねているそう。

ガラン子爵家が、王都に家を用意して、亡命してきた侯爵子息が生活できるようにしろと、侯爵子息自身が要求してきた。

意味が分からないの。

侯爵子息を祖国に返品したいけど、返品するにはキナ臭いところに手を突っ込む必要がありそうだから、様子見しようと決まったところ。

侯爵子息が騒いだせいで、ハーマルお兄様がいつもより忙しくなってるの。

ボクのハーマルお兄様なのに。

「国際会議の出席を打診してきた王太子と、コーハ王国に押しかけて亡命と騒いでいる侯爵子息は、組んでいないかしら?」
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