フィリス・ガランの近衛生活

第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ？

567.ガラン子爵家の家族会議。

姫呼びの撤廃に失敗したフィリスは、家族会議のために、ガラン領へ来ている。

「お父様。ボク、人の魔法を使えるようになるか、人の魔法に偽装して人に見抜かれない技術を身につけたいの。」
とフィリスが父ダルクにお願いしている。

「フィリスお兄様が、神気を溢れ出していては、気取られるのも時間の問題です。」
とマーゴット。
「今回は、わたしが間に合いましたが、次は難しいでしょうね。」

「マーゴットの新しい手下って、珍しい種類だよね？どこにいたの？」
とハーマル。

「少々手荒ですが、蓋をこじ開けて、引きずり出しました。普段は、蓋を開けて、出し入れしています。」
とマーゴット。

どこの蓋をあけたか、聞いたらだめなんだなーとハーマルは理解した。

「フィリスお兄様の神気の影響を打ち消すには、わたしの手下が有効です。フィリスお兄様、わたしと特訓しましょう。」
とマーゴット。
「わたしも、来年あたりには、婚約発表になりますから。この1年、長くて2年です。」

「マーゴット、フィリスの特訓に付き合ってやれ。」
とデヒル。

「場所は？」
とハーマル。

神気と、地獄から引きずり出してきたであろうナニカの力を開放できる場所なんてあるかな？

「フィリス用の土地を用意したから、そこでやるといい。特訓中は、周りを閉じておくこと。」
とダルク。

「ああ。異世界人が転送されてきたときのための土地。」
とハーマル。

「ありがとうございます。お父様。デヒルお兄様。マーゴット。ハーマルお兄様も、心配してくださってありがとうございます。」
とフィリス。

「マーゴットは、地獄のナニカをよく従えようと思ったなあ。苦労しただろう。」
とハーマル。

「ハーマルお兄様。わたしは、一生狙われる人生です。戦って勝ちを知らしめる必要があります。わたしとわたしの周りのために。」
とマーゴット。
「たとえ人生を終わらせて解決しても、その者が転生したら、キリがありません。最初から、後顧の憂いがないようにしなくては、安心して眠れませんから。」

「だから、肉体と魂の両方を消失させる存在なんだなあ。」
と納得のハーマル。

「フィリスお兄様の力の調整が上達したら、王都邸でも特訓できます。」
とマーゴット。

「マーゴット、ありがとうね。」
と涙ぐむフィリス。

「王都邸にマーゴットが来て、大丈夫かな？マーゴットに求婚してきた第2王子の関係者、時々、うろついているし。」
とハーマル。

「迷惑千万ですわ。」
とマーゴット。

「マーゴットに嫌なことをしてくる男は、ボクがやっつける。」
と気合いだけは十分なフィリス。

ガラン子爵家の5人の子どもの中で、現状、最弱のフィリスだが、目標があるのは良いことだ。

「フィリスは王都邸や、自分の家の行き来に気をつけなさい。マーゴットには接触できないようにしてある。ハーマルは、婚約者の公爵子息が護衛になっているから、安全だが、フィリスは違うからな。」
とダルク。

「危ない目に合いそうなら、すぐ助けを呼べ。」
とデヒル。