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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

562.欲望は糧になるが、欲望のために、身を滅ぼしかねないとき、真の友には、破滅へと背中を押すのではなく、踏みとどまらせてほしい。

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「イクス・メラー。話しなさい。自分の言葉で語ることがあるなら。」
とフィリス。

いなくて良いを連呼されたイクス・メラーは恐慌状態になりかけている。

イクス・メラーは、フィリスの命令に飛びついた。

「おれは、公爵から、ご令嬢をラウル様に娶せると聞いていて。ご令嬢からは、ラウル様が女性に興味がないから、興味を持っていただければ、安心だと聞いた。」

「おれの頑張りで、うちは、公爵家と縁が繋がる。だから、なんとかしたかった。」
とイクス・メラー。

「事実関係を調べなかったのか?」
とユージュアル。

「疑問に思うことなんてなかった。」
とイクス。
「おれは、ラウル様が男を可愛がっているのをこの目で見た。いろんな男とデキているという子爵家の男だ。ラウル様に、麗しいご令嬢をおすすめしたが、聞き入れていただけなかった。」

イクス・メラーには、部外者の自覚がないのか?
とユージュアルは思った。
余計なお世話、そのものだ。

ラウル相手に、ラウルの業務中に、手下を使って、売り込みさせるご令嬢は、まず選ばれないとユージュアルは思う。

結婚して、夫婦になってからも、夫の仕事先にやってきて、周りを省みずに暴れて去っていくような妻の未来図が想像出来る。

ユージュアルは状況を整理してみる。
「イクス・メラーの功績にするために、5人で計画を立てて、イクスに実行させた。」

「メラー伯爵家は、イクスの功績で、公爵家と縁を繋ぎたいと考えた。」

「イクスに生きて帰ってもらわないと困ると騒ぎ立てる4人は、イクスより爵位が下で、親しい。」

これらの状況からわかること、とユージュアルは話し出した。

「イクスが帰って来て、公爵家と縁を繋げることが出来たら、4人は、メラー伯爵家から褒美がもらえる手はずになっている。
違うか?」

4人は目をそらして、返事をしない。

「いいんだ。おれ1人の功績になるんだから、助けてくれた4人に報いるのは、当然だ。」
とイクス・メラーに言われて、4人はほっとしている。

「公爵家と公爵令嬢からの命令や依頼はあったのか?」
とユージュアル。

「懸念やお悩みを打ち明けていただいた。」
というイクスに同調する4人。

「匂わせられて、イクス・メラーがやる気になっただけか?」

「公爵家と公爵令嬢が、イクス・メラーの動機になったというイクス・メラー自身の証言を記録に残しておくか?」
ユージュアルはフィリスに確認する。

「証言を記録する以上は難しい。証拠がない中では。」
とフィリス。
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