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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

558.「コーハ王国の近衛は終身制。裏切り者の幕引きは、1つだけ。」「信用を失った近衛に居場所はない。」

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「捕捉など誰が許した!」
「横暴だ。」
「暴挙を許すな。」
色変わり組が騒ぐ。
「しょせん、ハリボテ。帰ってから懺悔しても許さないからな。」
「帰国して、好き勝手した罰を受けるがいい。」
「帰ってから、せいぜい吠え面をかくがいい。」

色変わり組の興奮とは対照的に。
フィリス、サブリー、ユージュアルは冷めきっている。

「作戦中の命令無視、命令違反、味方への敵対行為。」
とユージュアルが罪状を言い渡す。
「全員、死罪を申し渡す。」
とフィリス。

「死刑にすると?」
「馬鹿も休み休み言えよ。」
「笑い死ぬ。」
色変わり組は、フィリスには何も出来ないとふんでいる。

吐かれた暴言に対して、後で倍返しにしてやると意気込みながら、嘲笑した。

「死刑執行。午前11時40分、開始。」
とフィリス。

フィリス、サブリー、ユージュアルは、抜刀するやいなや、全員の足に一撃を食らわせて、動きを止めた。

ユージュアルが、1人ずつ、名前を読み上げる。

「こんな愚挙が許されるとでも思ったか、思い上がるな。」
痛みに呻きながら、フィリスを睨むつける。

「寝言は寝てから言わないと、笑われるぞー。」
とサブリー。
「行軍中に、上官命令を無視したり、命令違反したり、敵に味方を売っているやつを上官が見つけたら、どうするか知っているか?」

「軍法会議にかけるまでもない。上官の権限が認められる。」
淡々と話すサブリー。

「近衛でありながら、外交先で、他国に通じて、自国の貴族に危害を加える計画を実行した時点で、生きて祖国の地は踏めない。決まっている。」
とユージュアル。
「コーハ王国の近衛は終身制。裏切り者の幕引きは、1つだけだ。」


色変わり組の顔色は一気に悪くなった。
「まさか。」
「殺すのか。」
「こんなことで。」
「こんなところで。」
「なんの根拠があって。」
「なんの権限があって。」
「いやだ。死にたくない。」
「殺されるなんて聞いていない。」


本隊のグループリーダーは、隊員につつかれて、注意を向けた。

「どうした?」
「この場で殺すんですか?」
聞いた者も、その周囲にいる者も顔色が悪い。
「帰国してからでもいいじゃないんですか?」
「さすがに反省しますよ。」

グループリーダーは、聞いてきた者にゆっくり言い聞かせた。

「外交先で、外交先の国と通じて仲間を売るようなやつを国に入れたら、外交先の手先を招き入れるのと同じだ。」

「近衛の職務は、貴人の護衛や警護。信用第一。」

「1度、失った信用は、2度と戻らない。」

「信用を失った近衛に居場所はない。」

「2度はない。」

「近衛は、1人で切り盛りする職業じゃないだろう?外交先で、ほいほい仲間を売るような連中は、国内にも国外にもいらないんだ。」

グループリーダーの説明に、質問者達はいよいよ顔色を悪くした。

「助けてはもらえないんですか?」
と1人が勇気を振り絞る。

「なんで助けたいと思うんだ?」
とグループリーダー。

「だって、こんなことになるなんて、思わないじゃないですか?」

「誰も教えてくれなかったんです。」

「裏切らないのが前提だからな。今回、知ることが出来て良かったんじゃないか?」
とグループリーダー。
「裏切り者の罪を軽減することはないぞ。」

「仲間を売る前科のある連中と仕事はしないし、仕事を任せることはない。」

「近衛に限らず、どんな職業に就いても、同じだろう?」

「なんで裏切り者をかばいたがるんだ?」
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