フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

556.本人では気づきにくい箇所。でも、他人からよく見える箇所ってあるよね?鏡を見るとき、チェックする箇所や見る角度って、決まっていない?

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色の変わった近衛は、コーハ王国の近衛でありながら、ティリリ王国側についた者。

二心のある近衛は不要。

コーハ王国の近衛は、終身。

1度近衛になったら、死ぬまで、近衛であり続ける。

二心ありと判明した近衛を年齢層別に分けると、3タイプある。

ハーマルが貴族学校に在籍した期間に学生だった者。

当時学生として在籍していた誰かの影響を受けている者。

ティリリ王国行きにあたり、覚悟が足りない上に経験が浅くて、ティリリ王国側に引っ張り込まれた者。

外交にきて、滞在先の国に取り込まれる近衛など危険極まりない。

色の変わった集団の色は、2分経過したために元の青色に戻った。
サブリーが、全員に魔導具で水をかけて洗い流すと、青色は綺麗に消える。

フィリスは、微笑むこともなく、真顔で、色変わりしていた集団に近づいた。

「顔ぶれを見て、気づいたかしら。この集団の共通点。」
とフィリス。

色の変わらなかった者達は、最初、見当がつかなかったようだ。

じっと見ているうちに、あれかな?あれだよ、という囁やきがさざ波のように広がっていく。


一方、色変わりした者の何人かは気づいた。
心当たりがあるから。
フィリスはその瞬間に畳みかける。
フィリスの声に魔力が乗る。
「ティリリ王国の水は、どれほど甘かったのかしら?」

「知らない。」
「言いがかりだ。」
「こんな扱いをして、許さない。」
色変わりした近衛達は口々に身の潔白を訴える。

「証拠は、揃っている。残念ね。志半ばで終わってしまって。キミ達も、ティリリ王国も。」
とフィリス。

サブリーとユージュアルが、別働隊の隊員へ夜這いにきた者達へと振りかけた追跡粉。

ティリリ王国側の人間とコーハ王国の近衛にそれぞれ違う粉を使った。
使った粉には特徴がある。
同じ国同士の粉は反応しない。
しかし粉つきのティリリ王国人と粉つきのコーハ王国の近衛が接触すれば、反応が出る。

接触時間が長く、回数が多いほど、反応が顕著になる。

色変わりした近衛達自身では、分からなかっただろう。

彼らの頭頂部と後頭部の頭髪の抜け毛が急激に増えていたことに。

同僚も指摘は避けただろう。

「髪が薄くなってない?」
「こんなに地肌が見えていたっけ?」

指摘するには、あまりに個人的でデリケートな話題過ぎる。

近衛は、貴族子弟の集まり。

年頃の男性に対して、頭髪に関する事柄を話題に出すのはナイーブにならざるを得ない。

指摘する方に、なんのトラブルも発生していないとなれば、なおさら。
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