フィリス・ガランの近衛生活

第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ？

548.心から思い合う関係もあれば、親しくない顔見知り同士で、腹の底で一方的に罵られる関係でも、断ち切れない関係ってあるよね？

マーゴットとマーゴットの親衛隊が戻ってきたの。

「お帰りなさい。」
マーゴットを迎えると、マーゴットがこっそりお土産を見せてくれた。

「【神々の子どもたち】で使用されていたとされている呪具です。【神々の子どもたち】から直接加護や許しを与えられた人間以外が触ると、呪いで腐り落ちます。」
とマーゴット。

「ボクが持ち運びたいけれど、お仕事中なの。」
とフィリス。
「ガラン領に運んで、建物ごと封じる手配をお願いできるかしら。」

「呪具はボクが施しておく。」

「呪具に調整をして、マーゴットが運べるようにしたけど、他の人には触らせないようにして。」

「マーゴットの波長以外で、呪具が狂ったら、どうなるか分からないの。」

「承りましたわ。お兄様。」
とマーゴット。
「ハーマルお兄様が、そろそろこちらに着きます。」

「ありがとう。マーゴット。ボクを助けてくれて。ボクは、マーゴットの兄。一生、マーゴットの味方。忘れないで。」
てフィリス。

「わたしは、これから引き上げます。お兄様の帰国を心待ちにしておりますね。」
とマーゴットはにっこり。

夕焼けの空に、禍々しいナニカの大群が、赤い軍服集団を乗せて、飛び去った。

マーゴットが持ち込んだ天幕も回収済み。

フィリス達は、元の宿泊施設へ移動する。

宿泊施設に戻ってきたフィリスは、別働隊のメンバーで三交代制にした。

サブリーが仕掛けている魔導具はあるが、用心にこしたことはない。。

本隊の中に、フィリスへの反発から、ティリリ王国側に肩入れする人間がいる状況で、気を抜く訳にはいかない。

朝、セドリックとシュクナとレイモンド。

昼、ラウルとエスターとロウウェル。

夜、フィリス、サブリー、ユージュアルとダンシェル。

ハーマルが到着するまでは、この体制でいく。