フィリス・ガランの近衛生活

第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ？

542.フィリスが捕まえた小太りの男、キリン（仮名）。魔法の使える異世界に来たが、魔法が使えない。誰でも魔法が使えるようにする研究を始めた。

痩せ型の男サルの話を聞いて、小太りの男は腹が決まったらしく、同じ感じでよいなら、と話し始めた。

小太りの男の仮名は、キリン。

キリンも異世界人で、異世界転移後、保護された。

キリンは魔法使いだけが魔法を使うのではなく、誰でも魔法が使えたらいいと考えた。

魔法があるのに、キリン自身に魔法を使う才能がなかったから。

キリンは、最初、魔法を使えない人間が魔法使いのように、魔法を使うには、魔法を使えるものを身につけるのが、手っ取り早いと考えた。

魔導具なら、魔法使いでなくても使えるものも多数出回っている。

しかし、魔導具がないと魔法使いになれないのは不便。

魔法使いの因子を埋め込めば、魔法を使えるようにしたい。

スマホにアプリをダウンロードして、アプリが使える状況を人間に再現することを思いついた。

アプリによっては、本人登録をする。

必要なときは、ダウンロードして、いらないときは、アンインストールすれば、手間は少しかかるが、飛躍的に日常が便利になる。

キリンは、どんな魔法使いの因子を誰にどんな形で埋め込めば効果的か、という研究を始めた。

手探りだったので、目をくり抜いて入れ替えたり、腕を付け替えたりしてみたが、体の一部を交換しても、両方死んでしまうことが分かった。

血を入れ替えてみたが、うまくいかなかった。

失血死やショック死が続く。

遺伝子情報というのを知りたいと思ったが、門外漢なので、概念も調べ方も分からない。

異世界にいたときは、特に気にしたことがなかった。

遺伝子というものがある、くらいの認識だった。

日常生活で使う機会がなかったから。

遺伝子というくらいだから、親子兄妹、親戚という血縁から調べることにした。

家族構成が分かっていて、やんごとない身分ではない魔法使いは、理想の被験体だ。

魔法使いと魔法使いの親を調べたが、何も分からなかった。

何を調べたら良いかも分からなかったから、外見上の類似点を探すにとどまったのに、親子の類似点がなさすぎた。

魔法使いは、すぐに防御魔法を発動して、研究に協力的ではないので、親に確認したら、血縁上の親子ではなかった。魔法使いは、捨て子だったから、魔法使い本人も含めて、本当の親を知らない。

手詰まりで困っていたところ、サルが瀕死の女の生殖器を取り替える実験をしたと聞いた。

取り替えた生殖器から生まれる子どもを被験体にすることにした。

生殖器を取り付けた方は、安静にさせて妊娠させなくてはいけないので、研究に取り掛かれない。

サルの作った人工の生殖器を取り付けた女を研究することにした。

だから、研究のために、女の後をついて回っていた。

騒ぎになっているなと思ったら、捕まった。

キリンは、これがオレの話だと言うと、満足出来たか？と聞いてきた。