フィリス・ガランの近衛生活

第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ？

541.サブリーとユージュアルが捕まえた痩せ型の男サル（仮名）。魔法を使う人間には、魔法を司る臓器や器官が存在するのではないか？と考えた。

「ご案内するの。」
ボク達が捕まえてきたのは、どちらも若い男。

ボクが捕まえた法は、小太り。
サブリー、ユージュアルの捕まえた方は痩せ型。

どちらも背は高くない。

文官でも、武官でもない。

強いていうなら、学者タイプ。趣味に生きる人っぽい。

2人とも、ボク達が捕まえてから、一言も話さないから、お話しましょう、質問には正確に正直に答えてね、と伝えたの。

お名前や、出身地、国籍を聞いても、はっきりした答えが返ってこない。

単刀直入に、どんな目的で、何をしていたか聞いたの。

全然話さない。

「お話、したくないの？」
と聞いてみたの。
反応が鈍い。
「お話したくなるようにする？」

「何をするんだ？」
と小太り。

「キミ達次第かしら。ボクは、お互いのために素直に回答してほしいの。」

「ボク達の労力とキミ達の体力を無駄に使わなくても、話すことは出来ると思うの。」

「無駄に、なんだ。」
と痩せ型。

「行き着く先は1つ。遠回りするか、一直線に進むか。」

「殺すのか？」
て小太り。

「どうしようかしら？殺されたいの？」

「そんなわけない。」
と小太り。

「ボクは、殺さないで済むように努力するから、キミ達は殺されないで済むように努力するのが、最適解かしら。」

「殺さないとは、言わないのか。」
と痩せ型。

「キミ達のことをよく知らないことにはねえ。」

「話す。ただし、おれのことだけだ。」
と痩せ型。

「『おれのこと』が、ボクの知りたい全てであると期待している。」

痩せ型は、本名は名乗りたくないと言って、仮名を名乗った。
用心しているみたい。
名前は、後で、どうにでもなるからね。
好きにするといいの。

痩せ型の男の仮名は、サル。

サルは、異世界人で、異世界転移して、すぐに保護された。

生活を世話される代わりに、異世界の知識を披露したのだそう。

魔法が使えるのは、魔法を使う臓器や器官があるのかも、という話になった。
異世界では、臓器移植や、人工の管を人体に入れて、不健康な体を健康な体に変える技術がある。

魔法が使える人間の魔法に関する臓器や器官を他の人間に移植したら、魔法が使えるようになるのか、という研究が始まった。

拒絶反応が出るから、臓器移植さはする方もされる方も、命がけだと話したが、研究は進められた。

ただ、サルは、思いついたけれども、人体の仕組みに詳しくなかった。

魔法を司る臓器や器官について、なかなか正体がつかめないまま。

被験体の数も馬鹿にならない。
魔法を使える人間から臓器をとったら、死んでしまうから、勿体ない。

取った臓器の代わりに人工の臓器を入れてみることにした。

ちょうど、瀕死の女の魔法使いが手に入った。
1つずつ、女の臓器の取り替えをしながら、臓器取り替えの影響を観察することにした。

ボクは、ミーアーニ王女殿下の臓器の入れ代わりをどの程度進めたのか聞いた。

「まだ、生殖器だけ。子宮。生命誕生に関わる臓器が、1番、可能を秘めている。」

ミーアーニ王女殿下が臓器を取り替えられたことを魔法使いは、知っている様子だった。

どうしてかしら？

「男女の違いを確認するために、男女両方同時に生殖器の取り替えを行いたかった。」

「女が生きている内に、と、女から取り替えた。」

「男は、女の手術を見て、騒いで逃げ出そうとした。女がだめになったら、次は男で試すと話して、落ち着かせた。」

魔法使いは、ミーアーニ王女殿下が死んでしまったら、次は自分が同じ目に合うから、一緒にいるのかしら。

「女は死にかけていたから、手術に耐えきれず、そのまま死ぬ可能性も高かったが、急回復した。」

「急回復の原因究明には、まだ至っていない。次に死にかけたら、解剖して調べる予定。」

「意識が戻った女に状況を説明して、研究に貢献するよう命令した。」

「女が魔法を使うのを観察するために、おれは後ろから見ていた。」

「サルは、臓器移植に詳しいのかしら？仕事にしていたの？」

「いや、臓器移植については、ニュースで見た知識くらいだし、臓器の知識は、理科の授業で習った程度。」

「生殖器のつくりなんて、保健体育くらいでしか、ろくに習わないから、詳しくは知らないけど、女の体にあっても、今後の使い道がないから、人工のものは雑でも問題ない。」

痩せ型の男、サル（仮名）は、そこまで一気に話すと口を閉じた。

「これが、この世界に来てからのおれの話。」